青瓦台開放を契機として、青瓦台にある慶州方形台座石造如来座像(宝物1977号、別名『青瓦台美男石仏』)を慶州に移すべきだという主張が本格的に登場し始めた。9世紀の統一新羅時代に作られたといわれるこの仏像は、もともとは慶尚北道慶州市道只洞の移車寺址(し)にあったが、110年前の日帝強占期に京城へ移された。
慶州文化財取り戻し運動本部は今月25日ごろ、ソウルの竜山大統領執務室に「青瓦台仏像返還請願書」を出すという。12日に同本部が明らかにした。同本部は先月末から、およそ30の地域市民・社会団体などを相手に返還要求署名も受け付けている。パク・イムグァン運動本部運営委員長は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の青瓦台開放で、仏像をこれ以上ここに置いておく理由はない」とし「慶州から不当に持ち出された新羅時代の仏像を本来の位置に戻すべき」と語った。運動本部側は、大統領執務室付近で集会も開催する予定だ。
この仏像は、日帝強占期の1912年に慶州を巡視した寺内正毅総督により、当初は京城の南山にある総督官邸に移された。その後、1939年に総督官邸が景福宮の後苑(えん)に移転した際、仏像も一緒に移され、1989年に青瓦台の大統領官邸新築時に現在の位置に置かれたという。
慶州の仏像返還運動は今回が初めてではない。運動本部側は、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が就任した2017年から2019年までにかけて仏像返還運動を行った。当時、青瓦台は「望ましい方向で決定され得るようにしたい」と言っていたが、仏像返還はうやむやにされた状態だ。
慶州市は、仏像が返還されれば、皇竜寺出土遺物展示館前へ仏像を臨時移転した後、2020年から進めている移車寺址発掘作業が完了したら本来の位置へと移す計画だ。なお、青瓦台が開放されてから1日がたった11日、この仏像の前に置かれた「仏銭箱」などを50代の女性が壊すという事件が起きた。
クォン・グァンスン記者