これら一連の状況について専門家は「コロナの2年間、求職者は決められた時間に出勤し一定の給与を受け取る仕事ではなく、勤務時間をその日ごとに自分で決めることができ、働いただけ賃金を受け取るプラットフォーム型の仕事に一気に移動した」と分析している。いわゆる「ギグ・エコノミー(単発や短期の仕事を請け負う働き方)」の広がりで「ギグ・ワーカー」が増えたということだ。昨年末に韓国雇用労働部(省に相当)と韓国雇用情報院が公表した資料によると、配達員や運転代行などのギグ・ワーカーは2020年には22万3000人ほどだったが、昨年は66万人と3倍に増えた。
弘益大学周辺で徒歩配達のアルバイトをしているチョ・ソウさん(23)によると、平日の昼食時間と夕方のピークタイムに集中して働けば週に30万ウォン(約3万1000円)は稼げるという。チョさんは「社長や同僚にまじめに見せるプレッシャーもないし、働きたいときに働けるので気が楽だ」と語る。壇国大学経済学科のキム・テギ教授は「コロナをきっかけに若者たちが一気に新たな仕事に移動し労働環境が大きく変わった」「長期的には日本のようにコンビニや飲食店などどうしても人手が必要な仕事は中高年ばかりになる可能性が高い」と予想している。
コロナが続く間に若者にはさまざまな支援金が支払われたが、これも賃金に対する目線を高くしたとの分析もある。例えば現在一定の所得基準(中位所得の120%以下)を満たしている若者は政府から最大6カ月間、毎月60万ウォン(約6万2000円)の求職活動支援金を受け取ることができる。所得の基準が満たせない場合でも同じ期間毎月28万ウォン(約2万8700円)を受け取れる。若者に支援金を支払う地方自治体も多い。全国カフェ連合会のコ・ジャンス理事長は「国から支援金を受け取る若者たちは時給1万ウォンの仕事でも満足できないようだ」とコメントした。
カン・ウリャン記者