【5月28日付社説】対北制裁の安保理決議を妨害した中ロ、北で核実験が行われても同じことをするのか

 国連安全保障理事会が、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を撃った北朝鮮に対する追加制裁を表決にかけたが中国とロシアの反対で白紙となった。安保理の理事国15カ国のうち13カ国が賛成したのに、拒否権を持つ中ロが足を引っ張った。安保理の表決で北朝鮮制裁決議案が否決されるのは初めてだ。2006年の最初の核実験以降、これまで9回にわたる安保理の北朝鮮制裁は全て通過してきた。

 今回の制裁は、北朝鮮の原油・精製油の年間輸入量を25%減らすという内容が核心だ。2017年に国連は「北朝鮮が再び核実験を行ったりICBMを発射したりしたら油類の搬入をさらに制限する」という「自動制裁」決議案を通過させた。当時、北朝鮮が6回目の核実験に続いてICBMまで成功させたことから、中ロも「自動制裁」条項に賛成票を投じた。自分たちが作った条項すらも守らないのだ。今年に入って北朝鮮は、ICBM級だけで複数回発射したにもかかわらず、中ロは既存の安保理合意を無視し続けている。中国の国連大使は「北朝鮮の先制措置に米国が呼応しないことが、今の(北朝鮮による挑発)情勢につながった」として、むしろ「米国のせい」だとした。

 中ロは今年3月、北朝鮮のICBM挑発を糾弾する安保理声明も妨害した。韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が中国の習近平主席との初めて電話で、北朝鮮の挑発を懸念しつつ両国の協力を求めたが、中国はすぐに北朝鮮の側に立った。北のICBM発射の直後、中ロの戦闘機が東海上空の韓国の防空識別区域に無断侵入する事件もあった。北が核・ICBMを作るのに必要な炭素繊維や高強度アルミニウムなどは、ほとんど中国経由で輸入された。ロシア製の武器も多い。中ロが安保理の北朝鮮制裁決議を約束通りに履行するだけでも、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「核武力完成」は不可能だった。中国共産党は北朝鮮の核の「共犯」で、ロシアも大して違わない。

 金正恩委員長は、「非核化詐欺」が通じなくなるや核・ミサイル挑発を再開した。中ロはむしろ、安保理で「北朝鮮制裁の緩和」を要求した。習近平主席は山場を迎えるたびに金正恩委員長と会い、「裏口」を開けてやった。ロシアも一方的に北をかばった。中ロいずれも北朝鮮とその核を、米国と対決するカードとして用いているのだ。金正恩委員長がこれを知らないはずがない。7回目の核実験は、実戦で使える戦術核である可能性が高い。韓国に対する実質的な脅しだ。中ロは北が核実験をしても安保理制裁を妨害するのだろうか。だとしたら韓米日も、非常の対策を講じないわけにはいかない。

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