文在寅(ムン・ジェイン)前政権は2019年、日本が韓国に輸出規制を行ったことへの対抗措置として韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を決めた。その後、米国からの強い要求で終了を先送りしている状態が今も続いているため、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政府がこの問題の解決に向け動き出した。
韓国外交部(省に相当)のある当局者は15日「GSOMIA問題は韓日間の他の懸案と共に総合的な解決を模索すべきだろう」と述べた。韓国外交部の朴振(パク・チン)長官は今月13日(現地時間)にワシントンで米国のブリンケン国務長官と韓米外相会談を行い、その後の記者会見で「韓日関係改善と共にGSOMIAができる限り早期に正常化されることを希望している」と述べた。上記の外交部当局者のコメントは朴長官の発言に対する説明だ。
この当局者は「GSOMIA正常化」について「最近の北朝鮮による核とミサイルの脅威や地域の不安定な状況の高まりにより、安全保障分野における韓米日協力が非常に重要になっている。この点を考慮し3カ国による実質的かつ効果的な安全保障協力を進展させる必要がある」とも説明した。
韓国政府がGSOMIA問題について「総合的な解決」という言葉を使った背景には、「日本も輸出規制問題を解決する意志を示すべき」との点を強調することがあるとみられる。ただし日本は韓国に対する輸出規制を「韓国の大法院(最高裁に相当)による日帝強制徴用被害者への賠償判決の対抗措置」として行った。そのため強制徴用賠償判決を巡る韓日間の意見対立解消がまずは必要とみられる。
日本は2019年7月に韓国に対する輸出規制を断行した。これに対して文在寅前政権は1カ月後の同年8月に日本に対してGSOMIAの終了を通告したが、その後米国などの要求で同年11月に協定終了通告の効力を停止させた。このような不安定な状態が今も続いているのだ。
韓日GSOMIAは両国だけでなく韓米日3カ国の安全保障協力強化の実質的な基盤の一つだ。GSOMIAの「終了猶予」により韓日間で北朝鮮の核とミサイルに関する情報は互いの要請で交換されてはいる。しかしその情報の質や伝達のスピードについては「以前ほどではない」との指摘もある。
ソン・ドクホ記者