深刻化する軍隊ストレス…韓国20代男性のうつ病、5年で2倍に

精神科を訪れ軍隊での悩みを吐露
「親の過保護の下で育った世代…『社会と断絶』は不安と恐怖」

深刻化する軍隊ストレス…韓国20代男性のうつ病、5年で2倍に

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第3回〉

 韓国でうつ病を患っている20代の男性が、ここ5年間で2倍以上となったことが分かった。男性の全年齢層のうち増加幅が最も大きく、患者数も最も多かった。

 本紙が韓国健康保険審査評価院から入手した資料によると、昨年うつ病と診断された20代の男性は5万8649人だった。5年前の2016年(2万7891人)に比べて約2倍以上となった。2016年には男性の全年齢層のうち、うつ病を患っている20代が、10代、80代以上、30代に次いで4番目に少なかったが、昨年は20代の患者が男性の全年齢層のうち最も多かった。建国大学精神健康医学科のハ・ジヒョン教授は「過去に比べて男性の感受性がはるかに敏感になった」とし「高齢層の男性はうつ病を患っても隠していたが、20代の男性は『大変なことは大変なこと』と捉え、積極的に精神科を訪れる」と話す。

 専門家らは、兵役に対するプレッシャーが20代の男性たちをうつ病へと追い込む最大の原因と指摘する。精神健康医学科のナ・ヘラン専門医は「精神科を訪れる20代男性の半数以上は軍隊での問題を打ち明ける」とし「『ヘリコプター・ママ』という言葉のように、親の過保護・過干渉の下で育った若い世代は、家庭と学校で統制された経験が少ないため、軍で初めて経験する社会との断絶に対する不安と恐怖が大きい」と説明する。翰林大学聖心病院精神健康医学科のチョン・ドクイン教授は「就職競争が激しくなり、若い世代が兵役を控えて感じるプレッシャーも共に増えた」とした上で「20代初めから20代半ばの男性は学業断絶から来るストレスに苦痛を感じている」と話す。2019年に陸軍を除隊したアンさん(26)は「分隊長時代、自殺すると言った後任を2人見た。1人は実際に手首を切った」として「2人とも普段から『なぜ私がここにいなければならないのか』『除隊後、社会に再び適応できるだろうか』という不安を口にしていた」と話した。

 実際、精神科疾患で現役入隊対象から除外される人は、年々急増している。兵務庁によると、神経精神科疾患により現役判定で不合格(5-7級)となった人数は、2010年の3401人から20年の6870人へと10年間で2倍となった。現役入隊したものの、精神疾患の問題で帰宅措置となった人数も増加傾向にある。2020年に訓練所への入所後、精神科疾患で帰宅した入隊兵は4481人だった。2010年(1468人)と比べると、3倍以上にまで膨れ上がったことが分かる。

〈特別取材チーム〉金潤徳(キム・ユンドク)週末ニュース部長、キム・ヨンジュ社会政策部次長、卞熙媛(ピョン・ヒウォン)産業部次長、キム・ギョンピル政治部記者、ユ・ジョンホン社会部記者、ユ・ジェイン社会部記者、ユン・サンジン社会部記者

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