【萬物相】盗作

【萬物相】盗作

 小説家キム・ギョンウクの短編『千年女王』は、独創的な作品の執筆の難しさを打ち明けた作品だ。主人公は、小説を書き上げるとまず妻に見せるのだが、いつも「他人が書いた作品を写してるみたい」と責められる。実際には写してなどいない。大変な読書家の妻は、既存の作品の中から類似性を見つけ出して「独創的ではない」と指摘する。主人公は、そんな妻に恐怖を感じる。小説家であれ画家であれ、音楽家であれ、独創性に対する強迫観念から自由ではあり得ない。

 2015年、2人の人気小説家が同時に盗作論争に巻き込まれた。ある作家は、日本の有名作家の短編をまねたという疑惑が持ち上がるや、問題になった自分の短編を作品リストから外した。しかし、盗作をいさぎよく認めはしなかった。「問題になった作品を読んでないように思う」と言ったかと思えば、「自分の記憶を信じられない」とも語った。別の作家も、最初は「一人で洞窟に座って完全な創造をするとしても、偶然の一致は起こり得る」として否定していたが、さらに証拠が出てくるや「盗用した」と頭を下げた。

 歌謡界も、盗作から自由ではあり得ない。数年前、あるアイドルグループの発表した新曲は日本の歌手のものを盗用している、という主張が持ち上がった。別の歌手は、ドイツのグループが30年前に発表した曲とほとんど同じだという事実が発覚するや、「著作権を解決したい」として遅まきながらドイツまで飛んだ。どちらのケースも、盗作かそうでないかきちんと明らかにされないまま、うやむやな形で終わり、すっきりしない後味を残した。

 作曲家ユ・ヒヨルの最近発表したピアノ曲が、日本の著名な音楽家・坂本龍一の曲を盗用したという論争に巻き込まれた。ところが、二人が6月20日にやりとりした謝罪と理解の言葉は、これまでの盗作問題とは対照的な風景を見せてくれた。ユ・ヒヨルは坂本龍一に、盗作疑惑が浮上した事実をまず知らせて謝罪した。坂本龍一は、法的に戦う意図はないとして「私は、私が愛して尊敬し、たくさんのことを学んだバッハやドビュッシーからも、確実に強い影響を受けている曲が数曲あります。(中略)全ての創作物は、既存の芸術の影響を受けています」と、ユ・ヒヨルに配慮した。余計なことを言わない謝罪と、大物らしい包容をやりとりする様子は、気持ちよさすら感じさせてくれた。

 しかし、いくら良い結末を迎えても、盗作問題に巻き込まれると釈明は苦しくなり、創作意欲も萎縮してしまう。2015年に盗作問題に見舞われた作家は、それから4年たってようやく新しい作品を出すことができた。それでも「雷の中に立っているように思えた時期」「薄汚くなった机」という言葉でその間の精神的苦痛をぶちまけた。今回の件が、ユ・ヒヨルにとっても、自らを振り返って厳しく律する契機になることを望む。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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