【6月28日付社説】「人権弁護士」大統領の政権が行った反人権

 米国議会の「トム・ラントス人権委員会」の議長は2019年、脱北した2人の漁師を強制北送した事件について「人権弁護士だったという人(文在寅〈ムン・ジェイン〉前大統領)が漁師たちを悲惨な運命に追いやるとは信じられなかった」と述べた。米国議会の人権機関トップ自ら文在寅政権による反人権行為を批判したのだ。文在寅政権は脱北して帰順の意志を伝えた北朝鮮の漁師2人に対し、「仲間を殺害した殺人犯」という理由でわずか3日後には目隠しをし、縄で締め上げて北朝鮮に送り返した。北朝鮮が引き渡しを求める前に韓国とASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に金正恩(キム・ジョンウン)委員長を招待する親書を送り、その際に2人を引き渡す意向を伝えたという。いわば南北首脳会談ショーのために2人の漁師を北送したのだ。

 これに対して韓国野党・共に民主党(当時は与党)は「猟奇的な殺人魔を保護しろというのか」と反論した。しかしたとえ殺人犯であっても帰順の意向を明確にしたのであれば韓国国民であり、憲法、そして強制送還を禁じた人権原則に反する行為だ。犯罪行為については韓国の司法手続きに従って処罰すればよい。文前大統領は1996年に朝鮮族の船員らが11人の仲間を無残に殺害した「ペスカマ号事件」の際「加害者も釈放すべきだ」として最後まで弁護を続けた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権では特赦(減刑)まで引き出した。その当時は「人権弁護」だが今回は「追放」なのか。自らの政治的目的によって人権に対する態度が180度違うのだ。

 文在寅政権は国際社会や国連、旧共産圏諸国でさえ反対した対北ビラ禁止法を最後までごり押しした。米国議会の人権委員会はもちろん、米国務省も人権報告書でこの法律を批判した。これに対して文在寅政権の関係者は「内政干渉だ」と反発した。表現の自由を侵害し、懲罰的賠償を強要する言論仲裁法も推進した。国連人権高等弁務官事務所が反対の書簡を送ったが、その事実さえ隠した。韓国の公務員が北朝鮮軍に射殺され、遺体が焼却されても何の対処もせず、最初から「越北(北朝鮮への越境)者」とレッテルを貼った。人権や民主化を勲章のように前面に出した人間たちがただひたすら北朝鮮だけを仰ぎ見、必要であればいつでも人権を無視したのだ。

 文在寅政権は国連の北朝鮮人権決議案採決に4年連続で棄権した。北朝鮮人権団体への支援金をストップし、人権財団事務所も閉鎖した。北朝鮮人権大使は1回も任命しなかった。香港で行われている人権じゅうりんに対しても沈黙した。中国の新疆ウイグル自治区やチベットでの人権問題も同様だ。ロシアによるウクライナ侵攻を国連加盟国が非難したときも、文前大統領はこれに加わらなかった。「人権」は韓国国内で政敵を攻撃するときだけ利用し、自らが政治的に必要であればいつでも無視した。これがいわゆる「人権弁護士」の正体だ。

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  • ▲文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は民主統合党大統領候補だった2012年12月10日午前にソウル永登浦の党本部で会見し、人権政策10大課題について説明した。

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