韓国の人工妊娠中絶件数、「堕胎罪」違憲決定後に増加

「憲法裁決後、立法空白状態…安全な手術のための対策必要」

韓国の人工妊娠中絶件数、「堕胎罪」違憲決定後に増加

 2019年に憲法裁判所が堕胎罪に対して憲法不合致決定(違憲判断の一つ、特定の時点までに法律を改正することにし、それまでは現行の法律を維持するという決定)を下した後、人工妊娠中絶(以下、中絶)が小幅ながら増加したことが分かった。

 韓国保健社会研究院は6月30日、「2021人工妊娠中絶実態調査」の結果を発表し、2020年の人工妊娠中絶件数は3万2000件、人工妊娠中絶率は3.33‰(パーミル)、つまり1000人に3.3人と推定されると明らかにした。人工妊娠中絶率(‰)は満15-44歳の女性人口1000人当たりの人工妊娠中絶件数を意味する。

 妊娠中絶件数は2019年の2万6985件から2020年は3万2063件へとやや増加した。 2019年4月に憲法裁判所が堕胎罪処罰条項に対して憲法不合致決定を下したため、この判決が人工妊娠中絶の増加を招いたのではないかという見方もある。これについて、同研究院は「憲法裁判後、社会的ムードがある程度影響を与えた可能性はあるが、現在の調査結果からは分からない。今後、綿密な分析が必要だ」と述べた。

 今回の調査で、2018-2020年の人工妊娠中絶件数と人工妊娠中絶率は10-15年前より減少していた。2005年の人工妊娠中絶件数と中絶率は34万2433件(29.8‰)だったが、2010年は16万8738件(15.8‰)、2016年は6万9609件(6.9‰)だった。このように全体的な数字が減少した原因について、同研究院は「避妊方法をより多く知って、実践する女性が増えた(避妊認知率・実践率増加)」ことや、「根本的に満15-44歳の女性人口が減っているため」と説明している。今回の調査に参加した女性8500人のうち、人工妊娠中絶を経験した女性は606人だった。この数字は性経験女性7022人の8.6%、妊娠経験女性3519人の17.2%に相当する。

 この人工妊娠中絶経験女性の平均中絶年齢は満28.5歳で、2人に1人(50.8%)が中絶時に未婚だった。中絶を決心した主な理由は「学業・職場など社会活動を続けるため」「雇用不安定など経済的事情で育児が困難なため」「妊娠・出産計画上、意図していなかった妊娠だったため」などの理由が挙げられた。

 同研究院のピョン・スジョン研究員は「堕胎罪憲法不合致判決後、今は中絶した女性とこれを助けた医師を処罰する法律の効力が失われているが、後続の法律が空白の状態だ」「安全な妊娠中絶ができるよう、それに代わる法律の立法が迅速に行わなければならない」とした上で、「実効性のある性教育と避妊教育、妊娠中絶前後の体系的な相談制度の整備、社会的・経済的な困難に対する支援などが必要だ」と付け加えた。保健福祉部出産政策課のチェ・ヨンジュン課長は「保健福祉部では昨年8月から病院で妊娠中絶手術の過程・影響・注意点について医療スタッフの相談を受けられるように制度を設け、健康保険を適用している」と語った。

アン・ヨン記者

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