尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は7日に開催された国家財政戦略会議で「予算さえ投入すれば自然に経済が成長し、民生が良くなるという財政万能主義の幻想から抜け出すべきだ」と述べた。会議は忠北大学校で開催された。
会議を主宰した尹大統領は「民生における当面の懸案と財政危機克服に向け、政府が率先して腰の帯を締め直さねばならない(覚悟して取りかかること)」とした上で上記のように述べた。
財政の現状について尹大統領は「ここ5年で大きく悪化した。国の債務増加の規模とそのペースはいずれも過去最高レベルだ」「危機のたびに韓国では財政が経済の防波堤の役割を果たしてきたが、その堅実だった財政が(脆弱〈ぜいじゃく〉となり)国家信認度の潜在的リスク要因として指摘を受ける状況になった」とも説明した。
企画財政部(省に相当)は国内総生産(GDP)の5%に相当する今年の財政赤字を来年から3%以内に抑えることにした。この「3%ルール」は欧州連合(EU)など主要国で採用されている方式だ。これが行われれば2020年以降100兆ウォン(現在のレートで約10兆5000億円、以下同じ)規模にまで膨らんだ財政赤字が50兆ウォン(約5兆2000億円)ほどにまで減少する。
財政赤字の基準も見直される。国民年金、雇用保険、産災保険(産業災害補償保険、労災保険に相当)、私学年金の4大社会保障基金は毎年40兆-60兆ウォン(約4兆2000億-6兆3000億円)ほどの黒字が出ているが、文在寅(ムン・ジェイン)政権はこれらを含む統合財政収支を基準としていた。その場合、財政赤字の状況は実際ほど深刻には見えない。これについて企画財政部は「国民年金などの黒字を除く管理財政収支を基準にする」との方針を明らかにした。
今後これらの内容を含む「財政準則」が法制化されるという。文在寅政府は財政準則を施行令にする考えを示していたが、国会で成立せず廃案となった。国家財政法の改正が遅れた場合でも、今年9月に国会に提出する来年度予算案から適用するという。
国による債務の管理も強化される。2027年までに国の債務残高のGDP比を50%台中盤とする方向で管理を行うことにした。文在寅政権における債務増加のペースが続けば27年には債務残高のGDP比が68%にまで増加すると予想されている。
崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者