「先生はどうして髪が短いの?」…反フェミニストに攻撃される韓国の教師たち

「先生はどうして髪が短いの?」…反フェミニストに攻撃される韓国の教師たち

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第7回〉

 京畿道河南市の特性化高校(実業系)で保健の教師を務めるファン・ジョンミさん(42)は「性教育をしていると、男子生徒からたびたび『先生もフェミニストか』と聞かれる」という。ファンさんは「ある男子生徒がミニテストの答案用紙に私のことを『チャンケ(中国人を侮辱する言葉)フェミ女教師』と書き込んで返してきた」とし「とてもショックで心療内科を受診した」とつらい過去に触れた。

 現場の教師たちは「男女の対立が深まりを見せる中、生徒は教師たちを『フェミニスト』『反フェミニスト』といった物差しで観察し始めた」と重苦しい教育現場に触れた。正規の教育課程に出てくる内容に対し、「特定の性に対する肩入れ」と抗議する生徒もいるという。

 昨年、慶尚南道のある中学校では、『82年生まれ、キム・ジヨン』という小説を読んだかどうか、教師たちに聞いて回る男子生徒がいた。同生徒は「フェミの本を読んだ教師からは学ぶべきことが何もない」とし、本を読んだと答えた教師たちの授業は全て寝て過ごしたという。同校の教師、Aさんは「最近は、極端なユーチューバーの主張をそのまま受け入れ、異性を『敵』と見なす生徒が多い。その男子生徒もそのようなケースだった」と振り返る。

 仁川地域の男子中学で教師を務めるパク・チョンヒョンさん(韓国教育政策研究所副所長)は「1年生の男子生徒たちに自由討論のテーマを決めようと言ったところ、こぞって『女性家族部(日本の省庁に当たる)の廃止』を叫んだ。女性教師の前で女性の悪口を言うのもはばからない」と、眉間にしわを寄せる。女子生徒たちのジェンダーに対する感受性はより敏感だ。パク・チョンヒョンさんは「妻は女子高で国語を教えているが、詩人のシン・ドンヨプの『新しく開かれる大地』という詩の中の『鼓動する乳房を根付かせて』という表現が『女性嫌悪』に当たるとし、教科書を閉じてしまう女子生徒もいたという。男子生徒と女子生徒の間の認識がどれだけ大きく懸け離れているかを物語っている」と驚きを隠せない様子だった。

 本紙が、韓国教員団体総連合会(韓国教総)と共に、小・中・高校の教師や大学教授など合わせて1755人を対象に行ったアンケート調査の結果、回答者の7人に1人(15.1%)が「ここ3年で生徒たちから性差別的な言葉を言われたことがある」と答えた。ある30代の小学校教師は「男子生徒たちから『先生はなぜ化粧をしないのか』『髪が短い理由は何なのか』と問い詰められて、戸惑った」という。また、ある中学校の教師も「生徒が『あの先生はフェミニスト』と決め付け、他の生徒たちに言いふらしているのを見た」と回答した。

 生徒が教師に対して直接セクハラするケースも少なくない。京畿道地域で小学生を教えるキム・ウンヘさん(40)は「小学校高学年の男子生徒が突然私の目の前で性器を見せ、『これで僕のことを一生忘れられないだろう』と言った。女性教師に対する攻撃性をストレートに表したものだ」と回想する。

 SNS(交流サイト)が普遍化したことで、教師たちはたびたび「外部からの攻撃」に苦しめられることになる。某出版会社の社会文化の教科書を共同執筆した高校教師のBさんは、チャンネル登録者数で数十万人を誇る男性ユーチューバーに取り上げられて炎上した。ユーチューバーが教科書に書かれた「性不平等」に関する記述を問題視し「フェミニストたちが作ったごみのような教科書」と非難すると、あっという間に誹謗(ひぼう)中傷のコメントが5000件も書き込まれた。Bさんは「教科書は教育部の指針にのっとって書かれているため、内容はどの出版会社も似ているにもかかわらず、文章一つ一つにけちをつけてばかにしてきた」とし「教科書には執筆陣の名前と所属の学校までが書かれており、恐ろしさを感じた」という体験談に触れた。

〈特別取材チーム〉金潤徳(キム・ユンドク)週末ニュース部長、キム・ヨンジュ社会政策部次長、卞熙媛(ピョン・ヒウォン)産業部次長、キム・ギョンピル政治部記者、ユ・ジョンホン社会部記者、ユ・ジェイン社会部記者、ユン・サンジン社会部記者

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