【萬物相】恋愛も政治化

【萬物相】恋愛も政治化

 1990年代のテレビドラマ『モスマとカイネ』は、慶尚道の男性と全羅道の女性が出会って結婚する過程を描いた。二人は地域差を克服して家庭を築いたが、選挙の際に支持する候補の違いで離婚直前にまで至り、辛うじて和解した。選挙のたびに夫婦げんかをしたという家庭は少なくない。それでも、仲良く暮らしている家も多かった。

 「あなたは進歩(保守)の匂いがする」という言葉がある。米国の政治学ジャーナルは「政治的傾向が同じであれば相手の体臭も好き」という実験に関する論文を発表したこともあった。進歩派の女性は、極左の男性の体臭を嗅いで「一番好きな香水」だと言い、極右の男性の体臭には「腐ってる臭い」と言ったという。逆に保守派の女性は、極右の男性の体臭に強く反応した。信じ難い話だが、こうした研究があったことは事実だ。英国ウェストミンスター大学心理学科のビレン・スワミ教授は「人は年齢・人種・宗教・階層などが似ている異性に引かれ、そうした中で最も大きなものが政治的傾向」と語った。

 数年前、ある結婚情報会社の調査によると、未婚男女の57%が「政治傾向が違うなら合コンで会いたくない」と回答したという。「思考方式が違うとけんかになる素地がかなりあり、相手の傾向を強要されたくないから」というものだった。10人中7人が「政治的傾向が同じ人と恋愛したい」と回答したアンケートもあった。だが「政治的傾向が反対の異性と結婚できる」という回答も60%を超えた。政治的傾向が違っても、出会ってみて人間に問題なければ結婚する、というわけだ。

 最近、男女を結び付けてくれるデートアプリが加入者に「政治的傾向」を問うという。保守・進歩・中道・無関心に分けて問う。ユーザーが、政治的傾向が反対の人間は避け、同じ傾向の者同士で会おうとしているからだ。出会う相手についてソーシャルメディア(会員制交流サイト)で政治的傾向を確認するケースも多いという。恋愛相談サイトには「ボーイフレンドと選挙の話でひんぱんにけんかをする」「朴元淳(パク・ウォンスン)問題で言い争いをして別れた」「政治的傾向があまりにも違うが、結婚すべきか」といった悩みの書き込みが多い。「宗教は違っても生きていけるが、政治的傾向が違ったら生きていけない」「恋は諦めても政治的信念は諦め切れない」と語る人もいる。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「トランプ時代以降、政治的二極化で保守は保守同士、進歩は進歩同士での恋愛が増えている」と伝えた。デートアプリでも「ネバー・トランプ・デーティング(Never Trump Dating)」と「共和党シングルズ(Republica Singles)」のサイトが競争した。韓国も、大統領選挙の過程で起きた「イデナム(20代男性)」「イデニョ(同女性)」の対立がデート文化まで変えてしまっている。ほろ苦い話だ。

ぺ・ソンギュ論説委員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】恋愛も政治化

right

あわせて読みたい