【8月4日付社説】ペロシ氏と会わない尹大統領、米中に誤ったシグナルを送ることにならないか

 米国議会下院のナンシー・ペロシ議長が中国の強い反対にもかかわらず2日に台湾を訪問し、3日に韓国にやって来た。ペロシ議長は台湾で「中国の習近平・国家主席は人権と法の支配を無視している」「全世界が独裁と民主主義の間で選択を迫られている」と述べた。ペロシ議長の台湾訪問に慎重な立場を示してきたホワイトハウスも「大統領は下院議長の歴訪決定を尊重し、これが米国の政策と完全に一致すると信じる」とのコメントを発表した。これに対して中国は台湾周辺で軍事訓練を行い「行為の性質が極度に悪辣(あくらつ)で、その影響は極めて厳重」「火遊びをすれば必ず火に燃えて死ぬ」として強く抗議した。

 これら一連の流れの中で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は休暇中であることを理由に「来韓したペロシ議長との会談は難しい」との立場を伝えた。米国で序列3位のペロシ議長は今回のアジア歴訪で韓国以外の国では首脳らと会談した。台湾の蔡英文総統はもちろん、シンガポールのリー・シェンロン首相、マレーシアのイスマイル・サブリ首相とも会談した。日本では岸田文雄首相と会談を行う予定だという。

 尹大統領は大統領選挙戦当時から就任後の今に至るまで「強固な韓米同盟」を強調してきた。米国のバイデン大統領との首脳会談では韓米同盟について「軍事同盟から経済や技術面での同盟にも格上げ」で合意した。NATO(北大西洋条約機構)首脳会議の演説では自由民主主義諸国による協力の重要性を強調し「自由と平和は国際社会の連帯によってのみ保障される」と訴えた。その尹大統領がソウルにいるにもかかわらず「事前に了解を求めた」としてペロシ議長と会談しなかった。これについて一部では「中国の顔色をうかがっているのでは」との見方も語られている。ペロシ議長は2015年に来韓した時は当時の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と会談した。

 中国は韓国にとって最大の貿易相手国であり、北朝鮮の核問題では大きな役割を担うことから慎重に対処すべき国だ。しかし文在寅(ムン・ジェイン)政権当時のように屈従的な姿勢では歪曲(わいきょく)された関係が続くだけだ。尹大統領がペロシ議長と会談しなかったことが米国と中国に誤ったシグナルを送ることにならないか心配だ。

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