これに対して韓国大統領室の関係者は「2週間前の時点で会わないという結論を出した。中国から会うなという圧力もなかった」と反論した。ただし米国のバイデン大統領は「中国の反発による東北アジアでの緊張の高まり」を理由にペロシ議長による今回の歴訪には否定的で、米国国内でもその時期について批判が高まっていた。尹大統領にはこの点が報告されていたとの話もある。
ペロシ議長入国の際に韓国政府や国会関係者が出迎えなかったことについても「対応がずさん」との批判が相次いでいる。フィリップ・ゴールドバーグ駐韓米国大使がツイッターにアップした写真を見ると、3日夕刻に烏山の米空軍基地に到着したペロシ議長をポール・ラカメラ韓米連合司令官ら米国の関係者が出迎えたことが分かる。これについて韓国国会は「空港に出迎えに行かないことは米国側から事前に了解を得た」と主張しており、韓国外交部(省に相当)の安恩珠(アン・ウンジュ)副報道官は「儀典の指針によると、議会関係者が来韓する際に通常は韓国行政府の関係者は出迎えない」と説明した。しかし韓国与党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「韓国の国会議長が米国に行き、米国議会関係者が誰も出迎えず冷たくあしらわれたと考えてほしい」「この深刻な欠礼に国会議長は謝罪すべきだ」と主張した。批判が相次いだことを受けペロシ議長が出国する際には李光宰(イ・グァンジェ)国会事務総長が見送った。
外交関係者の間からは「ペロシ議長が今回訪問した各国と比較すると、韓国側の対応の冷たさはあまりにひどい」との指摘が相次いでいる。ペロシ議長は今回台湾の蔡英文・総統をはじめシンガポールのリー・シェンロン首相、マレーシアのイスマイル・サブリ首相と会談し、日本の岸田文雄首相とは5日に朝食会に出席する予定だ。今年5月にはウクライナとポーランド、6月にはイタリアを訪問したが、その際も各国の首脳と会談した。ペロシ議長は2015年に米国議会下院の民主党院内総務として来韓したが、その際には当時の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と会談している。
キム・ウンジュン記者