韓国の高齢女性を待ち受ける貧困の沼…少ない雇用・低い年金加入率

OECD 調査、韓国の高齢者貧困率は突出…女性は特に深刻

韓国の高齢女性を待ち受ける貧困の沼…少ない雇用・低い年金加入率

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第10回〉

 韓国保健社会研究院は昨年、韓国の貧困の二つの特徴として「高齢化」と「女性化」を挙げた。65歳以上の女性が世帯主になっている世帯の貧困率は65.1%で、同世代の男性貧困率(30.7%)の2倍以上だった。2018年の経済協力開発機構(OECD)調査でも、韓国の女性高齢者の貧困率(48.3%)は男性高齢者の貧困率(37.1%)より高かった。

【グラフィック】OECD高齢者貧困率

 高齢になってやってくる貧困の沼は、女性の方が致命的だ。専門家らは「経歴断絶(キャリア中断)」などで就職に役立つ技術を習得できなかったうえ、国民年金加入期間も短く、社会保障制度の恩恵を完全には享受できないため」と話す。

 『シルバー就活生奮闘記』というタイトルの著書で昨年、あるシニア文学賞を受賞したイ・スンジャさんの経験は、就職市場が女性高齢者にとってどれほど過酷なのかを示している。「熟年離婚」を選んだイさんは62歳の時に就職活動を始めた。大学の学位や各種コンサルティング資格、ホスピスでの活動という経歴もあったが、イさんに与えられた仕事はビルの階段掃除や時給4000ウォン(約420円)にもならない保育園でのパートくらいだった。結局、基礎生活(生活保護)受給者になり、昨年8月に心筋梗塞(こうそく)でこの世を去った。

 梨花女子大学社会福祉学科のチョン・スンドゥル教授は「『男性は生計を立てて家族を扶養し、女性は家事をする』という社会的な雰囲気の中で生きてきた女性高齢者たちは、働く機会そのものを得られなかったり、サービス業など単純作業を繰り返す仕事ばかりを転々としてきたりしたケースが多い」「再就職市場でも低賃金を免れるのは難しい」と言った。

 女性高齢者たちは国民年金などの社会保障制度からも疎外されている。女性の相当数は経歴断絶などで国民年金の最小加入期間(10年)を満たせていない。昨年の時点で満65歳以上の人口における国民年金受給者の割合は男性が83.4%、女性は35.2%だった。

〈特別取材チーム〉金潤徳(キム・ユンドク)週末ニュース部長、キム・ヨンジュ社会政策部次長、卞熙媛(ピョン・ヒウォン)産業部次長、キム・ギョンピル政治部記者、ユ・ジョンホン社会部記者、ユ・ジェイン社会部記者、ユン・サンジン社会部記者

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