【コラム】「克日」の半導体、「用米」の半導体(下)

 卓越した企業家が興した韓国と台湾の半導体産業は似ているようで異なる道を歩んだ。 韓国は「克日の半導体」だった。サムスンという大企業が社運を懸け、当時半導体を主導した日本企業に追い付き、打ち勝つ道を選んだ。少品種大量生産のメモリー半導体に勝負をかけるようになった背景だ。エンジニア出身者が政府支援と民間投資を集めて設立したTSMCは、製造の手足の役割を果たし、米国を頭脳として活用する「用米」半導体戦略を取った。多品種少量生産のシステム半導体分野に有利な構造だ。

 モビリティー革命、人工知能(AI)など第4次産業革命の時代にTSMCが先取りしたシステム半導体の成長は驚くべきものだ。しかし、今の半導体は単にサムスンとTSMCのどちらが勝つかという競争レベルを超えている。巨大な産業の流れが変わる時期に先端技術で世界覇権を先取りしようとする米中の競争が激化し、半導体が経済・安全保障の重要な戦略資産に浮上したからだ。

 戦雲が漂い始めたのは中国が「中国製造2025」で「半導体崛起(くっき)」に乗り出した2015年に遡る。トランプ前米大統領は、華為(ファーウェイ)と子会社の半導体設計会社ハイシリコンに対する制裁の先頭に立った。それにたじろいだ中国だったが、第2次半導体崛起に乗り出した。ついにバイデン政権は対中けん制と自国の半導体復活のために「チップ4」半導体同盟を推進するに至った。

 半導体を巡るアルゴリズムは複雑になった。国家対抗戦に局面が変化した。この機に形勢逆転を狙う日本が台湾と手を握り、「市場原理」に産業を任せていた米国政府が法律まで通して直接参入している。韓国が尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になり、半導体育成を積極的に推進するのは幸いなことだが、国際情勢をより遠大にとらえ、より早く動かなければならない。

姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員

【グラフ】大幅に減少した韓国の外貨準備高

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