【8月12日付社説】文在寅政権は中国の「THAAD運用制限」要求を受け入れて国民にうそをついたのか

 中国外交部(省に相当)は韓国のTHAAD(在韓米軍の高高度ミサイル防衛システム)配備について「韓国政府は対外的に『三不一限』政策を宣示(広く宣布して伝える)した」と主張している。三不とは「THAADを追加配備しない」「米国のミサイル防衛システム(MD)に参加しない」「韓米日軍事同盟に参加しない」とする約束で、一限は「THAADレーダーに中国方向に遮断幕を設置するなど運用を制限する」という意味だ。一限についてはこれまで中国国営メディアが何度か報じたことはあるが、中国政府が公式に言及したのは今回がはじめてだ。

 三不は今後追加の措置はしないという意味だが、一限はすでに配備したTHAADの運用にまで中国の意向に従うもので、韓国が思い通りできないことを意味する。そのため一限は三不以上に深刻な安保主権の放棄と言えよう。これが事実であれば、世界で自国の軍事装備使用に他国からの干渉を認めた前代未聞の事態だ。

 当時の康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部(省に相当)長官は「中国は一限を追加で要求した事実はなく、THAADの運用を制限する考えはない」と説明した。しかし今回中国政府が公の席で一限に言及したことで、文在寅(ムン・ジェイン)政権は中国との裏合意に応じ、国民にうそをついてきた疑惑が間違いなく浮上するだろう。2017年に当時の文大統領はTHAADに対する中国の反発をかわして訪中しようと頭を痛めていた。

 実際に文在寅政権は5年の任期中、一貫してTHAADの正式配備を先送りした。慶尚北道星州郡のTHAAD基地に対する環境影響評価は時間がかかる一般の環境影響評価に変更し、通常1-2年で終わるはずの手続きは一切行わなかった。左翼団体による抗議活動や妨害で長期にわたり必要な物資を搬入できず、兵士らはコンテナでの生活を強いられ基地の運用にも問題が生じていた。そのため米国のオースティン国防長官が韓国政府に直接不満をぶつけることもあった。文在寅政権が中国からの一限の要求を実質的に受け入れていたのだ。しかし当時外交長官だった康京和氏や鄭義溶氏ら文在寅政権の関係者らはこの疑惑について何も説明せず沈黙を続けている。

 現在の韓国大統領室は「THAADは決して協議の対象ではない」「今月中に基地の運用が完全に正常化するだろう」とコメントした。米国も「中国の要求は不適切」として一蹴している。THAADは北朝鮮の核やミサイルの脅威に対抗し、国民の生命と安全を守る最後の防衛手段だ。中国の不当な圧力に屈し、これを放棄するようでは主権国家とは言えない。文在寅政権当時、韓国の安保主権を放棄する裏合意や約束があったのか今からでも明らかにすべきだ。

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  • ▲鄭義溶(チョン・ウイヨン)韓国外交部(省に相当)長官(当時)と中国の王毅・国務委員兼外交部長。/聯合ニュース

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