【コラム】尹錫悦政権による言葉だけの「科学防疫」

【コラム】尹錫悦政権による言葉だけの「科学防疫」

 「私たちは票につながる防疫、支援金を与える防疫は致しません」

 最近韓国国会の対政府質問で、ある与党議員が文在寅(ムン・ジェイン)政権の「K防疫」を批判した言葉だ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の関係者は、総選挙を控えて災害支援金をばらまき、大統領選挙を前にソーシャルディスタンスを緩和した文政権の政策を「政治防疫」と規定。「前政権のように官僚や政治家の政務的判断で政策を実行しない」「専門家の科学的根拠をベースに方向性を決める」と強調した。これを「科学防疫」と称した。

 ところが政権発足後3カ月が過ぎたものの、尹錫悦政権は「科学防疫」というスローガンにふさわしい政策を打ち出せずにいる。7月26日、「ロングコビッド・ビッグデータ分析結果発表」を科学防疫の第一歩として掲げ、「ビッグデータを活用し、長期化したコロナによる後遺症について分析した初めてのケース」と誇らしげに語った。しかし、主な内容だった「ワクチン接種が心血管疾患の後遺症発生リスクを下げる」ということは、その頃始まった50代の4次接種を促すための良い材料となっただけで、これを土台にどのような「科学防疫」対策を施すのかについては提示されなかった。「根拠」よりも「意思」を前面に押し出した格好だ。

 2番目の科学防疫の成果として掲げた「全国民抗体陽性率調査」は、尹錫悦政権発足直後、すぐにでも取り組まれるかのような勢いだったが、結果発表は9月に持ち越された。その間、コロナの再流行はますます深刻化し、8月末にもピークに達するものと予想されている。全て終わってから科学防疫研究結果が出されるとすれば、効果は大幅に低下するほかない。

 7月20日には全国に1435カ所の新型コロナ・ウイルスの感染者のための病床を確保するよう行政命令を下した。しかし、一線の病院では、いまだに具体的な指針が示されていないとする声が聞かれ、「予測不能な犠牲だけを強要している」とのうわさが出回っている。科学を根拠とする「自律防疫」を掲げたものの、世間では笑い話として「疾病観覧庁」「国家逃走防疫」というブラックジョークまでが飛び交っている。

 第21代下半期の国会が開かれるやいなや、与野を問わず猛攻が始まった。主に「文在寅政権との違いは何か」という鋭い質問だった。尹政権は、政治化したK防疫を批判するために「科学防疫」を伝家の宝刀のように振りかざしたものの、その科学防疫が何なのか、今もまともに説明できずにいるのだ。

 専門家たちは「現政権の保健医療政策にはキーワードだけがあり、具体的な履行計画や実践方法の面が不足している」と指摘する。抽象的な単語だけを掲げるのではなく、実行意志、能力、主体を明確にせよといった忠告だ。

 8月3日、政府は「国民に以前のような生活を提供するすることで感染者が多数発生した所を集中的に管理する、『標的防疫』を推し進める」とし、「標的防疫」という新しいキーワードを打ち出した。文政権が根も葉もなく「K防疫」というキーワードで不十分な防疫政策をもみ消そうとしたことと、今回の政権が「科学防疫」「標的防疫」という言葉だけのスローガンを掲げていることが、妙にオーバーラップする。

アン・ヨン記者

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