韓国の熟年離婚、10年で2倍以上に…「人生まだ長い」と個人の幸せ求め

子どもたちも「両親の決定を尊重」

離婚の際は年金分割が可能に、経済的圧迫が減った影響も

韓国の熟年離婚、10年で2倍以上に…「人生まだ長い」と個人の幸せ求め

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第10回〉

 70代の女性Aさんは昨年、離婚相談のために家庭法律相談所を訪れた。結婚後、夫の暴言と女性を見下す態度が続いたが、夫が経済権を握っていたため、顔色をうかがいつつ生きるほかなかったという。Aさんは「最近は健康状態が悪化して、私の体も大変なのに、夫の世話もしなければならない」とし「今からでも離婚して、たった一日でも気楽に暮らしたい」と本音を語った。

 老年になってからでも自由を手にしたいという「熟年離婚」が増加している。一昔前までは、葛藤が生じても家庭を維持することが何よりも優先されてきたとすれば、最近では個人の幸せを重視する傾向が強くなり、別居、または卒婚という名で別れる夫婦が増えている。

 統計庁の「婚姻・離婚統計」によると、2021年に結婚生活30年以上の夫婦が離婚したのは、離婚件数全体の17.6%を占めた。2011年には7.0%に過ぎなかった熟年離婚の占める割合が、10年間で10%以上も増えたのだ。2011年に11万4300件だった離婚件数は、21年には10万1700件と1万件以上減った一方で、熟年離婚は11年の7900件から21年には1万7900件へと大幅に増えたことも注目される。

 両親の離婚について「大丈夫」と支持する子どもたちが増えたことも、やはり熟年離婚が増加する理由の一つとなっている。20年以上にわたって離婚相談業務を受け持ってきた韓国家庭法律相談所の関係者は「2000年代までは両親の離婚を受け入れられない子どもが多かった」とし「最近では家庭よりも個人の権利が重要という認識が広がり、熟年離婚の相談に来た来談者の10人に7人は、子どもの支持があるケース」と説明する。

 本紙とソウル大学社会発展研究所が共同で行った「ジェンダー意識調査」によると、2030世代(20代と30代)の10人に6人は「熟年離婚をする夫婦を理解できる」と答えた。特に20代の女性と30代の女性はそれぞれ70.8%、67.9%が「熟年離婚を理解する」と答え、20代の男性(50.6%)と30代の男性(55.3%)に比べて熟年離婚に対する拒否感が低いことが分かった。

 離婚時に経済的に自立できる環境が昔に比べて改善された点も、熟年離婚を選択する背景となっている。離婚の際の財産分割判決時、家事労働が資産形成に寄与した程度を高く認めるケースが増え、離婚した配偶者の年金を分けて受け取ることができる「年金分割制度」の適用対象が拡大したことで、経済的に離婚を選択できる余裕ができたのだ。1999年に始まった年金分割制度は、婚姻中の養育と家事労働により国民年金に加入できなかった配偶者の寄与を認め、離婚時の年金を一定の比率に分ける制度で、2016年には公務員・私学年金、20年には軍人年金にまで適用対象が拡大した。国民年金の分割受給者は、2014年の9797人から今年は5万5122人へと、熟年離婚の増加と共に大幅に増えた。

 漢陽大学国際学大学院のチョン・ヨンス教授は「平均寿命が延びたことで、老年層でも家父長制に基づく伝統的な家族関係を維持することに対し、懐疑的な見方が増えている」とした上で「以前に比べて公平な割合で財産と年金を分割できるようになり、経済的独立が制度的にも保障される点や、現在の熟年夫婦の子ども世代は両親の離婚を気にせず、『あなたの人生を応援する』という態度を示している点も、やはり熟年離婚が増加する原因」と説明した。

〈特別取材チーム〉金潤徳(キム・ユンドク)週末ニュース部長、キム・ヨンジュ社会政策部次長、卞熙媛(ピョン・ヒウォン)産業部次長、キム・ギョンピル政治部記者、ユ・ジョンホン社会部記者、ユ・ジェイン社会部記者、ユン・サンジン社会部記者

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