【8月16日付社説】具体的な対北政策構想を示した尹政権、対話しても制裁解除は慎重に進めていくべき

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)記念行事で演説し、「大胆な構想」と名付けた新政権の対北朝鮮政策について明らかにした。北朝鮮が核開発を中断し、実質的な非核化へと転換するのであれば、その段階に合わせて北朝鮮の経済・民生の画期的改善に向け支援を行うという内容だ。尹大統領はその支援の方法について「大規模食料支援」「発電・送電・配電のインフラ支援」「港湾と空港の現代化」「農業技術支援」「医療インフラの現代化」「国際投資と金融支援プログラム」などを提案した。「段階的支援」を軸とする尹錫悦政権の対北朝鮮政策構想が具体化したのだ。

 韓国大統領室は「北朝鮮が真剣に非核化交渉に応じた場合、交渉の早期から経済支援を積極的に検討するという点は果敢な提案だ」「必要に応じて国連制裁決議案の部分的な免除も国際社会と話し合う考えだ」と説明した。北朝鮮が非核化交渉のテーブルに出てくるだけで、対北朝鮮制裁を一部解除できるという意味だ。この点は李明博(イ・ミョンバク)政権の「非核・開放3000」とは異なるという。「非核・開放3000」は非核化合意の実現を前提に経済支援を行うというものだった。

 大統領室は人道的な観点で「まずは食料供給プログラムから部分的解除の検討が可能」としている。北朝鮮に食料を与えるのではなく、国連で定められた搬出禁止品の北朝鮮産鉱物を受け入れるという計画だが、その過程で制裁を一部解除できるということだ。大統領室は「米国も非核化協議をしっかりと行うことができれば、当事国とオープンに議論できるとの立場だ」と説明した。

 北朝鮮は自分たちへの制裁を解除させようと力を入れている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2019年にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談の際、トランプ大統領に最後まで制裁の解除を要求した。その点で今回の新しい構想はより前向きな北朝鮮誘因策になるかもしれない。

 しかし北朝鮮が実際に対話に応じ、その対話の席で非核化を約束したとしても、その約束を守るという保証はない。北朝鮮は対話が進む中でも過去30年にわたり6回も核実験を強行し、また核弾頭の小型化・軽量化に向けた7回目の核実験もすでに準備を終えた。弾頭を飛ばすミサイルも日々高度化を続けている。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は「北朝鮮は核を放棄する」と確信を持って主張していたが、その文在寅政権で対北朝鮮政策を担当した朴智元(パク・チウォン)元国家情報院長でさえ「金正恩氏は核を放棄しないと思う」と述べた。金正恩氏は「権力を守る最後の砦は核兵器」と信じているからだ。その金正恩氏が「核兵器を持ち続けていると本当に滅びかねない」と考えた時にのみ北朝鮮は核を放棄するだろう。金正恩氏をその方向に追い込む手段として現時点でその効果が立証されているのは制裁しかない。「大胆な構想」を実行に移す場合でも、北朝鮮が完全に核を廃棄するまで制裁の基本的な枠組みは揺らぐことなく維持しなければならないし、また北朝鮮の核兵器に対抗できる自衛力確保に向けた努力も怠ってはならない。

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