【萬物相】電子戦

【萬物相】電子戦

 ケーブルが接続される前、人々は「魚の骨」型のアンテナを使ってテレビを視聴していた。各家庭にアンテナが立っていて、都市の美観を損ねる主犯と言われた。このアンテナは1926年に開発されたものだ。日本の開発者の名を取って「八木・宇田アンテナ」と呼ばれた。世界の放送を変えた技術に挙げられるが、世界の戦争史を変えたという声もある。電子戦の幕を開けた存在でもあるからだ。だが、この技術を活用して第2次大戦を勝利に導いた国は日本ではなく、米国だったという事実が興味深い。

 八木アンテナの技術は、電波をより遠くまで、より多く送信する卓越した指向性が強みだ。軍事用レーダーとして用いれば、敵をいち早く捕捉することができた。米国がアンテナの価値を調べたのは、状況が切迫していたからだ。真珠湾攻撃のときのように、米国は日本の主力戦闘機「零戦」の航続距離と機動力にはかなわなかった。日本の戦闘機より足が遅かったので、先に見つけなければ備えることはできなかった。日本は米軍機より足が速いことを自慢し、手元の技術を軽視したことで、電子戦では素人と化した。

 戦争ドキュメンタリーの名作であるNHKの「ドキュメント太平洋戦争」では、零戦の残酷な終末を取り上げている。零戦は出撃直後、米軍の高性能レーダーに捕捉された。高高度に隠れていた米戦闘機「ヘルキャット」が奇襲をかけ、零戦の機動力を打倒した。狩りの第2陣は、VT信管と呼ばれる電波装置を取り付けた米艦隊の対空砲弾が担当した。一定の距離で自動的にさく裂し、散弾で零戦を撃墜した。電子戦で無力化された零戦は、最終的に特攻用の機体へと転落し、太平洋に葬られてしまった。

 現代の電子戦は、誰が先に敵を捕捉するかを競うレベルではないという。電子兵器で敵の探知や通信システムまでめちゃくちゃにしてしまう。座標がめちゃくちゃになったら、最先端システムの戦闘機を保有していても飛ばすことはできず、最新型のミサイルを配備しても撃つことはできない。どうにか戦闘機を飛ばしたとしても、幽霊を探してさまよい、敵の姿を見ることもできないまま撃墜される。零戦のように「空飛ぶ棺」となるのだ。米国が世界最強なのは、第2次大戦以降、電子戦で他の追随を許さない技術格差を維持してきたからだ。

 米国連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問した際、中国軍は最新の駆逐艦と戦闘機を動員してペロシ議長の乗る飛行機を追跡したが、失敗したという。米軍機の電波妨害のせいで、中国の装備が全て使いものにならなくなったのだ。米国の真の力は、こういうものではないだろうかと思う。ペロシ訪台後、中国は台湾を包囲してミサイルを撃ち、武力の誇示を繰り広げている。強気に見えるが、結局のところ「仏様の手の上で力んでいる孫悟空」のようなものだ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員

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