【朴垠柱コラム】「良い」「優しい」で合ってますか?

「良い飲食店」「良い影響力」「善良だ」と判断するのは誰だ
形容詞、進歩系の政治スローガンに、政治は形容詞でなく動詞で

 今となっては先史時代と感じられる過去、女性に目をやっては「体つきが『チャッカダ』(良い・優しいの意)」と言っていた。男の目に良ければ「チャッカダ」ということだった。約10年前は、テレビは化学調味料を使わない飲食店を絶賛し、該当する店に「良い飲食店」プレートを付けて回った。「美しい店」の設立者だった朴元淳(パク・ウォンスン)市長時代、ソウル市は「チャッカダ」という言葉を愛用した。値段の安い自営業者を選び出し、「優しい店」と呼んだ。以降、「優しい決済」「優しい賃貸料」といった用語と政策があふれ返った。

 韓国語の「チャッカダ」は「言動や心が美しく正しく温柔だ」といった意味だ。「美しい」「正しい」「温柔だ」とは何か。言葉を使用する人によって捉え方は千差万別で、基準がない。これを明文化したり制度化したりすると、状況は複雑化する。キムチチゲ1杯に3000ウォン(約300円)を受け取る飲食店を「優しい飲食店」とすれば、1万ウォン(約1000円)を受け取る飲食店は悪い飲食店となってしまう。「優しい賃貸料」に参与しない建物のオーナーは、ひどい資本家だ。建物のオーナーよりもお金持ちの借家人がいるというような事実はむしろ関係ない。とにかく、出くわしたものが善良でなければならないのだ。この形容詞は道徳性を測る物差しであると同時に、相手を傷つける刃となった。疑問を抱いた人たちが「優しさの二面性」に気付き始めた頃、この業界には新しい単語が登場した。

 「国会議長が手にした木づちと大工が使用する木づちは同価値である、という事実が認められる世間になることを願う」と発言したコメディアンのキム・ジェドン氏が地方自治体の招請講演で2000万ウォン(約200万円)を超える講演料を受け取っていた事実が判明し、論争が起きた。知名度を考えれば適当という擁護論と、偽善者という批判が交錯した。キム・ジェドン氏のファンクラブは「社会的に善良な影響力を数多く行使したキム・ジェドン氏であるため」として支持声明を出した。「善良な影響力」は最高のマーケティング用語として定着した。受賞の感想を聞かれ「善良な影響力」と言った芸能人パク・ナレ、飲食店コンサルティング番組に出演した外食業事業家のペク・チョンウォン、何度も寄付を行ったお笑い芸人のユ・ジェソク、MZ世代(1980年代-2000年代初め生まれ)に肯定的影響を及ぼした男性アイドルグループのBTS。芸能人に対して「善良な影響力」という表現が使われるケースが圧倒的だ。「優しい店」に次いで「善良な影響力」も各種の認証や授賞事業へと発展した。

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  • ▲テレビ番組「食べ物Xファイル」(チャンネルA)では、「良い飲食店」を選んで発表。大きな人気を集めた。/放送内容をキャプチャー

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