■1365ウォン割り込むウォン安も
同日のウォン安はでドル買い優勢が長期化するという見方が強まったためだ。KB国民銀行のエコノミスト、ムン・ジョンヒ氏は「2001年のドットコムバブル崩壊当時、1ドル=1368ウォンまでウォン安が進んだ点を考慮すると、ウォン相場は短期的に1365ウォン前後まで下落する可能性がある」と述べた。
米国の急激な利上げに伴う韓米間の金利差拡大で、これまで韓国に流入していた海外の資金が流出する可能性を指摘する声もある。それについて、韓国銀行の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁は「ウォンだけでなく、他の主要通貨も全て対ドルで弱含んでいる。1997年の通貨危機や2008年の世界的な金融危機のような時期ではない」と強調している。実際に年初来のドルに対する通貨下落幅は26日時点でウォンが10.7%で、ユーロ(12%)、円(15.9%)、ポンド)(12.4%)、人民元(7.3%)などと比べて特に危険に直面しているとは言いにくい。李総裁はインタビューで、「資本が海外に流出する主な原因の一つが国民年金や個人投資家の海外投資だ」とし、不安感の解消に努めた。
専門家は李総裁の説明に概ね同意しているが、日本や中国とは状況が異なると指摘する。延世大の金正湜(キム・ジョンシク)名誉教授は「日本はわざと景気浮揚のために円安に誘導している面があり、円が国際通貨である強みもある」としたほか、「中国の場合、資本を自由化せずにコントロールが可能な国なので、非常時の資本流出を防ぐ手段がない韓国とは事情が異なる」と指摘した。
■これといった方策がない韓国政府
問題は韓国政府がウォン安に積極的な対策を打ち出すことは容易ではない点だ。ウォン売りが強まっているというよりは、誰もがドルを買おうとしているため、ドル高を緩和できるこれといった解決策はない。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は23日、「ドル高ウォン安の状況が市場にマイナスの影響を及ぼさないよう、リスク管理を徹底する」と発言したが、ウォン安の勢いは収まらなかった。
これと関連し、金融監督院は今週中に「空売り調査チーム」を新設、稼働させる予定だ。空売りを厳しく取り締まることで、金融市場の不安を緩和する狙いだ。民間の為替専門家は「大きな効果はないとしても、当局が継続的に口先介入を行い、為替投機を行う勢力を取り締まることは、ウォン安に対する心理的恐怖を軽減するのに役立つ」と話した。
孫振碩(ソン・ジンソク)記者