文在寅政権の「韓国史教科書居座り」…自由・南侵の表現が消えた

前政権が選定した研究陣、中学・高校の新歴史「教育指針」を変更
尹大統領は「自由」を強調するが…教育部は左派偏向を傍観
教育部、遅まきながら「国民の意見を集約して修正する」

 2025年から韓国の中学生と高校生が学ぶことになる「2022年改正韓国史教育課程」試案から「自由民主主義」という用語が抜け落ちていることが判明した。6・25戦争についても「南侵で始まった」という説明が抜けた。今回の教育課程試案は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に結成された政策研究陣が作ったもので、「歴史教育居座り」という指摘が出た。学界では、このまま韓国史教育課程が確定した場合、生徒たちが左派偏向の教科書で学ぶことになりかねないという懸念が持ち上がっている。

 教育部(省に相当)は30日、インターネットのホームページ上でこうした内容の中学校歴史・高等学校韓国史教育課程試案を公開した。「教育課程」とは、生徒たちが授業時間に学ぶことになる内容と体系を記しておくものだ。教科書の執筆者らは「教育課程」、そしてこれより詳細な「執筆基準」に基づいて教科書を書く。教育課程と執筆基準を破ったら、教科書検定審査を通過するのは難しい。教育部は文在寅政権時代の昨年4月、「2025年高校単位制導入に合わせて新たな教育課程を開発する」と発表した後、公募によって研究陣を立ち上げた。この研究陣が、全体の方向と骨組みに該当する「総論」と科目別の「教育課程」を開発し、今回その試案を公表したわけだ。

 30日に発表された韓国史教育課程試案は「大韓民国の発展」単元の達成基準と達成概説部分に、いずれも「自由民主主義」という単語を用いておらず、「民主主義」と表現した。文在寅政権が2018年に作った現行の教育課程は、達成基準に「民主主義」と書かれており、達成概説で「自由民主的基本秩序」となっているが、今回の試案では「自由民主的基本秩序」も抜けた。かつて「建国節」論争を呼び起こした1948年8月15日については、現行教育課程と全く同じ「大韓民国政府樹立」と表現した。

 「自由民主主義」を強調する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権でこうした試案が発表されたのは、文在寅政権が昨年12月に左派偏向の政策研究陣を立ち上げて開発を行ってきたからだ。教育課程は通常、教育部が科目別の専門家に政策研究をしてもらって開発し、その案を土台として公聴会で意見を集約した後、各種の委員会審議を経て最終的に教育部が確定・公示する。教育部が政策研究陣を「公募」で選ぶのは、政府が特定の研究者を選定して開発を任せたら、公正性を巡る論争に巻き込まれかねないからだ。今年5月に尹錫悦政権が発足した時点で、既に教育課程開発はかなり進んだ状態だった。

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  • ▲写真=中学校韓国史教科書最終版(写真は2017年版)/NEWSIS

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