献金・贈り物・セックス…世界の政界を席巻する中国スパイ、対韓工作の実態とは(第1回)

■米国連邦議員、市長、市議会議員に接近

 大学生を装ったクリスティン・ファンは、連邦議員や市長、市議会議員などに接近し、選挙資金の募金を助けたり肉体関係を持ったりして情報を盗み出していたことが判明した。「中国政府は今春実施されたニューヨーク市議会選挙にも直接介入した」として、クリストファー・レイFBI長官は次のように語った。

「中国は今年のニューヨーク市議会選挙において、1989年6月の天安門デモ参加者で中国を批判している候補が当選することを望まなかった。中国はこの候補に関する不利な情報を探り出すため、私立探偵を雇った。何の情報も得られないことから、性労働者を利用して社会的論争を引き起こそうとし、交通事故の提案も行った」

 全米435の連邦下院議員選挙区では、多くの場合、薄氷を踏むような勝負が繰り広げられる。資金を集中支援したり、中国系米国人を動員して数千人、もしくは1万人から2万人の票さえ動かせば、中国に友好的な議員をもっと多く当選させることができる。

 オーストラリア政界を狙って、中国は露骨に浸透を図っている。個人や機関を動員して、総選挙などへの影響力行使を試みたのだ。2016年のマルコム・ターンブル首相の自由党政権で、労働党上院議員をはじめとする政界に中国人富豪が200万豪ドル(約1億8700万円)をばらまいたことが情報機関によって捕捉された。

 サム・ダスティアリ上院議員(労働党)は2014年から、中国共産党と関連のある財閥実業家から訴訟費用支援や中国旅行、高級ワインといった饗応を受けていた。2017年にはスポンサーの実業家に「豪政府があなたの携帯電話を盗聴しているので注意すべき」と情報を漏らしていたことが報じられ、国民的な怒りを買い、翌18年1月に政界から追い出された。彼は南シナ海の領有権争いのような事案で親中を選択し、「シャンハイ・サム(Shanghai Sam)」と呼ばれた。

■「後援金、広告、雇用で豪を攻略」

 オーストラリア政府はその後、外国人による政治後援金の寄付を制限し、外国政府に雇われた代理人が内政に干渉した場合には刑事処罰する法律を作った。

 豪チャールズスタート大学のクライブ・ハミルトン教授は「中国共産党はオーストラリアを、米国に『ノー』と言う国にしようとしている。オーストラリアの相当数の国会議員、特に労働党議員が主に中国の情報当局の工作員によって影響を受けてきた証拠が明らかになった。中国と関連がある実業家の後援を受けた政治家らは、資金の元を隠している」と語った。


宋義達(ソン・ウィダル)エディター

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  • ▲豪チャールズスタート大学のクライブ・ハミルトン教授が書いた書籍の韓国語版。/写真=朝鮮日報DB
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