【コラム】韓国気象庁の台風11号予想は「騒ぎすぎ」だったのか

 韓半島が台風11号(アジア名:ヒンナムノー)の本格的な影響圏下にあったここ数日間、移動経路や予想される被害などに関する記事を書き、ネットのコメント欄を読んだところ、「大騒ぎ」「空騒ぎ」という単語が目についた。「歴代級の台風だと大騒ぎしていたのに、実際に感じた影響はそれほどでもなかった」という投稿主は「気象庁は過剰予報」「政府は過剰対応」などと非難した。しかも、こうしたコメントには数多くの「いいね」がクリックされていた。

 その時刻、台風と満潮が重なった釜山市では、マンションの7階の高さに相当する最大15.4メートルの高波が発生し、済州特別自治道(済州島)ではそれが21メートルにまで達した。慶尚北道浦項市は未明の集中豪雨により河川の水かさが急に増してはんらんし、マンション地下駐車場が水没して住民が閉じ込められた。地域によっては強い雨風程度だったかもしれないが、済州島や南海岸一帯の人々にとってはあまりにも過酷で、大切な家族を亡くした人もいた。

 それでも「空騒ぎ」したおかげで人命被害・財産被害を減らすことができた。正式な記録で見ても、台風11号はこれまでに韓国に上陸した台風の中で3本の指に入るほどの威力だった。今も被害の大きさが記憶に新しい2003年の台風14号(マエミー)と中心気圧が1.9hPa(ヘクトパスカル)しか差がない恐ろしい台風だった。2003年台風14号の時は131人が死亡・行方不明となり、4兆2000億ウォン(約4360億円)の財産被害が発生した。しかし今回は2003年台風14号のような被害が繰り返されることはなかった。それだけより徹底的に備えたからだ。

 気象庁が出した台風11号の予想進路・規模がおおむね当たったことも、台風に備えるのに大きな役割を果たした。気象庁の分析官13人は台風11号が東京の南東の遠洋上で発生した先月28日から10日間家に帰れず、夜を徹して勤務した。分析官たちは一晩中、台風の移動経路や規模を分析し、その結果を翌日午前11時の記者会見で発表するという強行軍を続けた。その結果、台風の距離の誤差である200キロメートル前後で動きと規模をほぼ正確に当てた。

 台風11号の通過後、「やっと少し眠れそうだ」と一息ついた気象庁の人々が再びため息をついたのは6日夜のことだった。浸水した浦項市内のあるマンション地下駐車場を捜索するニュースが流れた時だ。まだ退勤できず、庁舎に残っていた職員たちは速報が流れてくるテレビ画面から目を離せなくなった。奇跡的に生存者が発見された時は拍手がわき起こり、心肺停止状態の住民が発見された時は短いため息の後、重い沈黙が流れた。ある職員は「今回も人命被害を防げなかった」「我々のせいだという思いが強い。申し訳なく思う」と語った。

 台風は消滅したが、台風が残した傷は一つ、また一つと明らかになってくるだろう。さらなる被害が出ないことを祈るばかりだ。「空騒ぎ」だと皮肉るのではなく、台風に立ち向かう努力をした気象庁の人々にも温かい励ましのコメントがあればと思う。

パク・サンヒョン記者

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