【9月13日付社説】北朝鮮の核先制攻撃法制化、「偽りの非核化ショー」の悲惨な結末

 北朝鮮が韓国の国会に当たる最高人民会議で「共和国核武力政策について」という法を満場一致で採択した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長ら首脳部が攻撃を受けた場合、自動的に核攻撃を加えることを法律の条文に明記したことがその骨子だ。この法は「核兵器使用条件」として五つの点を明確にしている。北朝鮮に対する核兵器・大量破壊兵器による攻撃、指導部に対する核・非核攻撃が敢行・切迫したと判断される場合などだ。簡単に言えば「攻撃が疑われただけで核攻撃ができる」という意味だ。韓国と米国が何の理由もなく北朝鮮を攻撃することなどあり得ないが、偵察衛星を一つも持たない北朝鮮がどういう方法で攻撃が近づいた兆候を感知できるのか。金正恩氏が「不安を感じた」とか「被害妄想」だけで核を使えるとする法的な根拠を定めたことと何ら違いがない。

 金正恩氏は核武力法制化について「われわれの核を巡ってこれ以上駆け引きできないように不退の線を引いておいたことに重大な意義がある」「核保有国としての地位は不可逆的なものになった」とした上で「百日、千日、十年、百年かけて制裁しろって言ってみろ。絶対に核を放棄できない」「非核化のための交渉も、互いに交換する取引の材料もあり得ない」「核を担保に改善された経済生活環境を追求しない」などと明言した。1万9000字以上にわたる演説文の約40%が「非核化しない」という内容だった。いわば「非核化絶対不可法」を制定したのだ。

 金正恩氏には最初から非核化の意志などあるはずがなかった。2018年に突然平昌冬季オリンピックに参加するなど平和攻勢を仕掛けたことも、厳しい制裁による困難な状況を緩和し、核武力を高度化するための時間を稼ぐためだった。ところが当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権は「金正恩氏の非核化の意志は明確」として世界中を欺き、米国のトランプ大統領(当時)には保証まで買って出た。2019年のいわゆる「ハノイ・ノーディール(米朝首脳会談決裂)」後に北朝鮮がミサイルを撃った直後でさえ「モラトリアムを守らないのか」として米国に制裁の緩和を求めた。そのため任期末の今年3月にはより強力となったICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射をただ眺めることしかできなかった。

 金正恩氏のショーに踊らされた共に民主党は「核の先制攻撃」が法制化されたとのニュースが報じられてから3日が過ぎても公式の論評一つさえ出していない。これで野党第1党と言えるのか。しばらくして李在明(イ・ジェミョン)代表が「制裁や圧力だけでは解決できない」と述べ、北朝鮮の包容と対話・協力を求めながら「強い遺憾」を表明したのが全てだった。「偽りの非核化ショー」で核・ミサイル高度化の時間を稼いでやっただけでなく、今もなお「金正恩氏の非核化の意志」を信じているのだろうか。これが文在寅政権と共に民主党が5年にわたり強行した「韓半島平和プロセス」の結果なのか。

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  • ▲写真=朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」

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