【萬物相】暗黒期を乗り越えた俳優イ・ジョンジェ

【萬物相】暗黒期を乗り越えた俳優イ・ジョンジェ

 ソン・ギフン、1974年生まれ。テハン工業高校を卒業後、ドラゴン・モータース組み立て1チームで働き、リストラで失業。チキン店・粉食店を営むが失敗し、代行運転手として働くもののギャンブルの借金に苦しむ。『イカゲーム』参加者456番、ソン・ギフン役の俳優がイ・ジョンジェ(49)だ。イ・ジョンジェが非英語のエミー賞ドラマシリーズ部門主演男優賞を取った。2020年に映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞でそうしたように、今年は『イカゲーム』がエミー賞で新たな歴史を作った。

【写真】エミー賞の受賞所感を語るファン・ドンヒョク監督とイ・ジョンジェ

 演技者を評して「ディクションが良い」というのは、単に発音にとどまらず、せりふの伝達力が良いということを意味する。ハン・ソッキュ、ソル・ギョング、チョ・スンウといった俳優が該当する。ずば抜けた容貌を持つ俳優の大多数は「演技力論争」を通過儀礼のごとく経験する。イ・ジョンジェは高校卒業後、狎鴎亭のカフェで接客をしていたところ、.デザイナーの河竜水(ハ・ヨンス)にモデルとしてスカウトされた。イ・ジョンジェが全国区のスターになったのはドラマ『砂時計』(1995)のときだった。すてきな服を着ているが口数は非常に少ないボディガード、ペク・チェヒを演じた。

 1998年の映画『情事』、翌年の『太陽はない』以降、目立ったヒット作のなかったイ・ジョンジェは、2010年に映画『ハウスメイド』で財閥2世の役を演じ、好評を博した。作品や配役を選ぶ目が確実に良くなっていた。タダで手に入れたものではなかった。「イ・ジョンジェの暗黒期」と呼ばれる期間中、彼はかなり努力した。大学教授に演技の指導を受け、時代劇からスリラー、コメディーとジャンルも選ばなかった。韓国映画界に「ジョンジェは成功しないといけないのに」と語る人が増えていった。

 外信が書く「イ・ジョンジェの面白いところ(fun fact)」という記事には、主に二つの内容が盛り込まれる。「イ・ジョンジェの交際相手は財閥家の娘(chaebol daughter)、サムスン後継者の前夫人」というのが一つ目で、二つ目は「自撮り」の話だ。彼は昨年末、写真共有SNS(交流サイト)「インスタグラム」にアカウントを開設し、スマートフォンで撮った自撮りとコメントをアップロードした。「こうやって上げればいいかな?」 SNSの写真に魂を込める世代から見れば、お粗末だった。「そうやって撮るのなら、その顔を私にください」「自撮りを押収しよう」「ルックスの浪費」…若い世代がイ・ジョンジェに好感を持っているというシグナルだった。

 俳優として賞を取ったが、イ・ジョンジェには他の職業がある。芸能マネジメント事務所の設立者で、映画監督でもある。少し前に封切りされた映画『HUNT』は監督デビュー作だが、評判は良い。「『イカゲーム』の主演ではなく『HUNT』の監督として記憶されるべき」という、多少誇張された賛辞も出ている。イ・ジョンジェと主演男優賞を争ったボブ・オデンカーク(『ベター・コール・ソウル』)、ジェイソン・ベイトマン(『オザークへようこそ』)はもちろん、トム・クルーズ、ブラッド・ピットも俳優兼制作者だ。今やその道に入ったイ・ジョンジェが、再び私たちを驚かせてくれることを願う。

朴垠柱(パク・ウンジュ)エディター兼エバーグリーン・コンテンツ部長

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