北朝鮮専門メディア「NKニュース」は14日(現地時間)「北朝鮮は国連安保理制裁で輸入が制限されている石油を密輸するため、船舶の平衡水タンクを利用しているようだ」と報じた。
ほとんどの商船は海水を積んでこれを排出する平衡水タンクを持つ。船舶の重心を下げてバランスを取ることで船の安定を維持するためだ。船舶は平衡水を満たしたり排出したりして船のバランスを取るが、タンクに石油などを入れるとこれができなくなるため、安全性に問題が生じる恐れが出てくる。また海水ではなく石油を積んだ状態で航行し、事故が発生すればタンクの石油が流出して大規模な海洋汚染が発生する可能性も高まる。
NKニュースは「北朝鮮は平衡水タンクに取引が制限されている精製油を極秘に積み、平衡水がない船のバランスを取るため船底に重いコンクリートを付着させ、あるいは別の貨物をさらに積んでいる可能性がある」と報じた。匿名の国連加盟国がこの情報を国連の対北朝鮮制裁委員会専門家パネルに伝え、近く公開される専門家パネル報告書にこの内容が記載されるという。
古川勝久・元国連専門家パネル委員はNKニュースの取材に「平衡水タンクを使用せずどうやって船を運航できるのか」とした上で「大きな災害を起こしてしまうだろう」と警告した。ニール・ワッツ元国連専門家パネル委員も「石油は水よりも軽いため、平衡水タンクにこれを積むのは(安全上の)問題がある」と指摘した。平衡水タンクに一度石油を入れてしまうと、次に運航する際に水を入れこれを排出すればタンク内の石油が海に流れ出し、環境汚染の原因になる。この点も問題として指摘されている。
ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員