【萬物相】在日韓国人とパチンコ

【萬物相】在日韓国人とパチンコ

 数年前、大阪のカジノで働く在日韓国人小説家の家に招待されたことがある。仕事が忙しいのに小説まで書く理由を尋ねた。すると、「職業に貴賤はないと言うが、カジノは日本で尊敬されるような職業ではなく、自尊心を保つのは容易でない。しかし、小説家は尊敬される」と答えた。小説家イ・ミンジン(ミン・ジン・リー)の小説『パチンコ』に同じようなセリフがある。離婚経験のある子持ちの日本人女性がパチンコ店を経営する在日韓国人と再婚しようとすると、母親がやめさせようとする。「朝鮮人と? パチンコ屋をやっている人と? かわいそうな子どもたちに、これまでも十分ひどいことをしてきたと思わないの?」

「パチンコ屋をやっている在日韓国人」は冷遇や蔑視(べっし)に耐えて暮らしている。いやしい職業だという認識があるため日本人が避けてきた仕事を、日本の敗戦後にまともな職に就けなかった在日韓国人たちは生きていくために選んだ。日本のパチンコ業界の80%を在日韓国人とその子孫たちが担い、「パチンコ=在日韓国人」という認識が固定化した。嫌韓傾向のある日本人たちは「朝鮮賭博」だの「朝鮮玉入れ」だの後ろ指をさしてきた。

 日本人たちの態度は二重規範的だ。パチンコは会社員たちが仕事帰りに立ち寄って楽しむ代表的な娯楽だ。全盛期は年間3000万人が出入りした。パチンコ店を巡るユーチューブ動画も人気だ。100万人を超える登録者数を抱えるチャンネルもある。スマートフォンのアプリや雑誌、プレイを紹介するテレビ番組もあるから、日本の国民的娯楽と言っていいだろう。ところが、そうした店を経営する在日韓国人たちを見下している。

 多くの在日韓国人たちにとって生計の基盤となっているパチンコ産業が下り坂に差しかかっているというニュースを先日、本紙で伝えた。1990年代初め2万店を超えていた全国の店舗数が昨年は8000店まで減ったという。その理由はいくつか挙げられている。当局がパチンコの射幸性を引き下げ、大当たりのチャンスを阻んでいるうえ、新型コロナウイルスの流行まで重なって、客足が落ちたということだ。だが、もう少し広い視野で見れば、現代は電車やバスの中でもさまざまな種類のスマートフォンゲームをダウンロードして楽しむ時代だ。パチンコの時代は今や過ぎ去りつつある。

 小説『パチンコ』は、どうあがいても抜け出せない「在日韓国人のアリ地獄」としてパチンコを描いている。名門・早稲田大学の卒業生も、米国に留学して金融マンになって帰ってきた人も別の人生を夢見たが、その終着地はパチンコだった。日本が今もそういう社会だというなら、パチンコの衰退は在日韓国人にとって災いだろう。ところが、現実では別の神話が生まれている。ソフトバンクの孫正義会長の父親はパチンコで金を稼ぎ、息子を米国に留学させて世界的な実業家にした。在日韓国人は世界のどこにいても、その国の国民の平均以上の生活をしているという。そのへこたれないDNAがパチンコ衰退期を迎えた在日韓国人たちに新たな突破口を見いだす力となってくれると信じる。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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