石炭不足の中国から和解の手…豪「まずは制裁解除せよ」(前編)

中国の経済報復2年、逆転した形勢

■党大会を前に停電問題の再燃を懸念

 西側諸国のアナリストは、オーストラリアの対中政策に大きな変化がない状況で中国の方から和解の手振りをしてきた理由を「石炭」に求めた。

 中国は昨年7月から秋にかけて、石炭供給不足により東北部をはじめ全国およそ20の省市(省および直轄市)で大規模な停電が起きた。住民生活の不便はもちろん、工場の稼働まで止まり、経済に大きな打撃を与えた。オーストラリアに打撃を与えるための経済報復が、逆に自分の足を引っ張る形になったのだ。オーストラリア産の石炭に対する禁輸措置が出る前、2019年に中国が輸入したオーストラリア産の石炭は7689万トンに達し、中国の石炭輸入量の26%を占めていた。

 今年は、ウクライナ戦争で事情がさらに急迫した。欧州連合(EU)が今年4月、ロシア産石炭の輸入禁止に合意したからだ。中国はこれまで、インドネシア産の石炭の輸入を増やすことでオーストラリアの石炭の空白を埋めてきたが、今ではインドネシア産の石炭を巡って欧州諸国と購入競争を繰り広げなければならない羽目になったのだ。

 今年10月と11月、習近平主席の任期継続が懸かった中国共産党第20回党大会が開かれることも負担だ。任期継続を前に全国的な停電が再発するという最悪の事態を迎えかねない状況だ。

 中国は、国内の石炭生産を大幅に増やし、オーストラリア産石炭の禁輸措置を解除する案を検討するなど、総力戦に乗り出している。

 ブルームバーグ通信は7月14日、内部消息筋の話を引用して「中国政府機関の実務陣が、2年近く続いてきたオーストラリア産石炭の輸入禁止措置を解除する案を最高位層に報告した」と報じた。EUのロシア産石炭制裁で石炭供給に支障が生じており、停電問題が繰り返されないようにオーストラリア産石炭の輸入の道を開くべきだというのだ。

 関連機関の国務院国家発展改革委員会(発改委)は公式な立場を打ち出してはいないが、中国の石炭輸入業界でも「オーストラリア産石炭への禁輸措置はじきに解ける」といううわさが聞かれる-と中国の国内メディアは伝えた。

崔有植(チェ・ユシク)東北アジア研究所長

【表】2019年の中国の石炭輸入、国別割合

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 石炭不足の中国から和解の手…豪「まずは制裁解除せよ」(前編)
  • 石炭不足の中国から和解の手…豪「まずは制裁解除せよ」(前編)

right

あわせて読みたい