【萬物相】黄金チケット症候群

【萬物相】黄金チケット症候群

 映画『チャーリーとチョコレート工場 』の原作で1960年代の英国の童話『チョコレート工場の秘密』に登場するチョコレート会社社長ウィリー・ウォンカは、チョコレートに黄金のチケット5枚をランダムに挟んで売るイベントを開く。チョコレートを買って幸運にもこのチケットが当たった子どもには不思議な工場を見学できるチャンスが与えられるという。「幸運をつかめ」という趣旨は変質する。親がチョコレートを買い占め、チョコレートの包み紙を素早くむく人まで雇った金持ちの家の子どもたちがほとんどのチケットを手にする。お金で運まで引き寄せる社会を風刺した童話だ。

 この童話が人気になったことから、英米圏で「golden ticket(黄金のチケット)」という単語は熱望する何かを一気に手にする手段を例える言葉として定着した。小売商たちが行う景品イベントなどでよく使われてきたこの言葉が19日、経済協力開発機構(OECD)の「韓国経済報告書」に登場した。名門大学進学や大企業正社員としての就職に執着し、とてつもない努力をしてこれに成功すれば、実際に大きな利益が得られる韓国的な現象を「黄金チケット・シンドローム(症候群)」と表現したのだ。

 名門大学卒という学歴などの「看板」に対する韓国人の執着は世界最高レベルだ。学歴がもたらす利益はそれほどまで大きいということなのだろうか。大学学部の卒業証書が気に入らなければ、学歴のアップグレードだけを目的に大学院に行く人も少なくない。社会人のための特殊大学院が韓国には700以上ある。このような国は珍しい。インターネットで人物を検索すると、指名・所属の後に学歴が出てくるほど、韓国人は学歴・学脈・学閥を重視するからだ。

 出身校にこだわるのは韓国だけではない。先日死去した京セラ創業者・稲盛和夫氏の原則は「新製品のアイデアは早稲田大学、営業戦略は地方大学、問題把握は東京大学出身者がうまい」というものだったそうだ。米国もアイビー・リーグと呼ばれる8つの名門大学出身者なら得をする。しかし、韓国のように名門大学の卒業証書が人生全体を変える「黄金チケット」だと信じ、命懸けで入ろうとする風潮の社会はあまりない。

 1993年の朝鮮日報には「見合いの場で学閥がどうこう言う低質な結婚の風潮は情けない」という読者の投稿が掲載された。米紙ワシントン・ポストは2014年、「名門大学に行くために名門小学校・中学校・高校を出なければ良い仕事や配偶者が得られない社会だ」と韓国を描写した。今、OECDまでもが改善が必要だと言っている。学歴だけではない。入学試験の合格証は一度手にすれば一生食べていける黄金チケットだと言われる。医師や弁護士など、敷居を高くして利益を最大限得ようという専門職は一つや二つではない。親は黄金チケットを子どもにつかませようと、あらゆる犠牲を払う。これこそ「少子化を招く社会」ではないのか。

金信栄(キム・シンヨン)記者

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