【9月26日付社説】「文は必要ない」…金正恩氏の本音も知らずに北朝鮮群衆の前で演説していた文前大統領

 北朝鮮と米国が非核化交渉を行っていた2018年9月に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が米国のトランプ大統領(当時)に送った親書が公開された。金正恩氏は「今後は文在寅(ムン・ジェイン)大統領ではなく閣下(トランプ前大統領)と直接、韓半島の非核化問題についての協議を希望する」「文大統領がいま表出している過度な関心は不必要と思う」との考えを伝えていた。

【写真】白頭山の頂上に登った南北首脳

 親書が送られた時期は、金正恩氏と当時平壌を訪問していた文前大統領が「9・19共同宣言」を発表した2日後だ。この9・19宣言には「南と北は韓半島の完全な非核化を推進する過程で共に緊密に協力することにした」と記載されている。文前大統領は平壌で行われた記者会見で「完全な非核化の完成」と語り、北朝鮮群衆の前で自らを「南側の大統領」と紹介する演説を行った。翌日には金正恩氏と共に白頭山に登り、手を取り合って記念撮影を行った。ところがその背後で金正恩氏は「文前大統領を交渉から排除してほしい」という親書を送っていた。文前大統領は金正恩氏の本心も知らずに、北朝鮮が演出した平和ショーに夢中になっていたのだ。

 文在寅政権に対する北朝鮮の二重の態度は、退任後のトランプ前大統領を通じて昨年4月から知られるようになった。文前大統領は米国メディアとのインタビューでトランプ前大統領の対北朝鮮政策を「遠回しなものばかりだった」と批判したが、これに対してトランプ前大統領は宣言文の内容を紹介し「私が知っていた(そして大好きだった)金正恩氏は一回も文在寅大統領を尊重したことがない」と反論した。「(文大統領は)指導者として、交渉者として弱かった」とも批判した。

 文前大統領と韓国野党・共に民主党は今なお北朝鮮が捨てた9・19宣言と「非核化ショー」に未練を持ち続けている。9・19共同宣言4周年の際に文前大統領は「4年前の今日、私と金正恩委員長は反目と対立、敵対の歴史を終わらせる意志を込め、『戦争のない韓半島の始まり』を万邦に知らせた」と述べた。9・19軍事合意については「政府が変わっても当然尊重し、実行すべき約束だ」と主張している。金正恩氏が核兵器を使った先制攻撃の可能性を明記した法律を制定し「非核化は絶対にないし、いかなる交渉も、互いに交換する取引物もない」と宣言した直後に、文前大統領はこのように語ったのだ。「ここまでだまされても、それでも引き続き操られたい」と言っているのと同じだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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  • ▲15万人の平壌市民の前で-文在寅前大統領(中央)と北朝鮮の金正恩国務委員長(左端)は2018年9月19日夜、平壌市内の綾羅島にある「5月1日競技場」でマスゲーム「輝く祖国」を観覧し、直後に手を取り合って観衆(平壌市民)に手を振った。

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