米エヌビディア・クアルコムが再び台湾TSMCに発注、韓国サムスンのファウンドリーはなぜ劣勢なのか

 米半導体メーカーのエヌビディアが新しいグラフィック処理装置(GPU)の製造をファウンドリー(半導体受託生産)世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)に発注した。GPUはコンピューターグラフィックや人工知能(AI)の演算に欠かせない半導体だ。前世代の製品はサムスン電子に製造を発注したが、新製品は発注先をTSMCに戻したのだ。

 エヌビディアは9月20日、毎年恒例の技術イベント「GTC2022」を開き、GPUの新製品(RTX4090、4080)を公開した。同社のジェンソン・ファン最高経営責任者(CEO)は、新しいGPUを手に持ち、「TSMCとの緊密に協力で、GPUに最適化された4ナノメートル製造プロセスを採用した」と述べた。ファウンドリーの社名を公言するのは異例で、「TSMC製(Made by TSMC)」をマーケティングポイントにしたのだ。TSMCは世界のファウンドリー市場で50%以上を占める圧倒的な首位だ。後発のサムスン電子がTSMCを追撃する中、「大口」顧客が相次いで離脱する状況に懸念の声が上がっている。

■大口顧客、TSMCへ

 ファウンドリー業界2位のサムスン電子は現在、TSMCを懸命に追い上げている。今年6月には業界で初めて次世代技術「GAA、Gate All-Around)を採用し、TSMCに先駆け3ナノメートル製造プロセスによる量産を開始する勝負に出た。

 しかし、グローバル顧客は最近、相次いでTSMCを選んでいる。米クアルコムは11月に発売するスマートフォン向けシステムオンチップ(SoC)である「スナップドラゴン8」第2世代(Gen 2)の製造をTSMCに任せた。クアルコムは昨年末、同第1世代(Gen 1)の製造をサムスン電子に発注したが、今年5月にTSMCに乗り換え、次のモデルでもTSMCを選んだ格好だ。半導体業界ではサムスン電子製のチップが発熱と性能低下の問題に直面したため、クアルコムがTSMCを選んだとの分析が聞かれる。

 TSMCの最大顧客であるアップルも、3ナノメートルによる量産に先に成功したサムスンではなく、TSMCと手を組んだ。アップルはTSMCの3ナノメートル製造プロセスで独自設計した「M2チップ」を開発し、今年末に発売するノートパソコン「MacBook」に搭載する計画だ。米半導体メーカーAMDも今年8月に発売した中央演算処理装置(CPU)「ライゼン(Ryzen)7000」シリーズにTSMCの5ナノメートル製造プロセスを採用し、その後の製品もTSMCに発注した。

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