【9月30日付社説】外相解任案を強行採決した共に民主、国益を害する政略

 韓国の革新系最大野党「共に民主党」が29日、外交部(省に相当)の朴振(パク・チン)長官の解任建議案を国会で単独採決した。「共に民主党」は、自党出身の金振杓(キム・ジンピョ)国会議長を通して議事日程を変更し、票決まで終えた。保守系与党「国民の力」は反発し、革新系少数野党の正義党は「解任建議案を政争の具にしようとする試み」だとして票決に参加しなかった。任命権者である尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、票決前から拒否の意志をはっきりと明らかにしていた。こうした状況で解任案を押し付けたのは、正義党の言葉通り政争のためのものだと見るしかない。

 「共に民主党」が明らかにした解任建議理由も、事実とは異なる部分が多い。「共に民主党」は、尹大統領の歴訪中に韓米・韓日首脳会談が開かれず、「バイデン発言」論争で「外交惨事」が起きたから朴長官が責任を取るべき-と主張した。韓米間の正式な会談は米国側の事情で不発だったが、両首脳は4日間で3回も対面した。ホワイトハウスも、韓米首脳がインフレ抑制法などの懸案を話し合ったことを確認した。韓日首脳は30分間対面し、懸案を話し合った。「会談が開かれなかった」という民主党の主張は、「会談ではなく懇談」という日本側の発表と同じ主張だ。しかも今、韓日関係が良くないのは朴長官のせいではなく文在寅(ムン・ジェイン)政権の責任だ。なぜ朴長官の責任なのか。

 「バイデン発言」は、尹大統領は言ってもいないことだと判明している。「共に民主党」は、発言映像を実際に撮ったMBC放送が報じるよりも先に、早々と大統領の発言を公開して問題にした。後に、これは「バイデン」ではなく「ナリミョン(飛ばしたら)」だと音声分析の専門家らが指摘している。尹大統領の発言の流れからしても「バイデン」はおかしい。言ってもいない言葉を根拠に、突拍子もなく外相解任案を出したというわけだ。無責任だ。

 朴長官は、自らに対する解任建議案が通過する日、韓国を訪れた米国のカマラ・ハリス副大統領との会談スケジュールをこなした。米国側も、韓国国会で起きていることを知っただろう。これほどになると、国政の足を引っ張るにとどまらず国益の毀損(きそん)ではないか。「国民の力」院内代表が「今まさに外交活動を猛烈に行っている人物の背を刃物で刺すようなもの」と語ったが、間違いとは言えない。

 今、韓国は複合危機の状況にある。インフレと国際金融危機、米中競争とサプライチェーン再編、ウクライナ戦争、迫りつつある北朝鮮の7回目の核実験、韓日関係復元など、外交長官が対応すべき件は一つや二つではない。今秋のG20(20カ国・地域)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議など、多国間外交の日程も連鎖的に組まれている。「共に民主党」は、こうした状況で朴長官を「自国の国会で不信任を受けた人間」にした。それも、何ら理由なく、政府に揺さぶりをかけようとする、純然たる政略として行った。「共に民主党」が169議席の力で守ろうとしているのは国益ではなく、ひたすら党利であるらしい。

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  • ▲「国民の力」所属の国会議員らが29日午後、韓国国会本館の階段で、朴振外相解任案の採決に抗議するボードを持ってデモを行う中、「共に民主党」所属の国会議員が解任案採決を終えて本会議場から出てきたところ。/写真=国会写真記者団

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