【朝鮮日報コラム】永遠のトップ企業はない

【朝鮮日報コラム】永遠のトップ企業はない

 9月15日に米国から伝わった企業買収のニュースが大きな話題となっている。写真編集ソフトウエア「フォトショップ」で知られるアドビが従業員数800人のスタートアップ企業フィグマ(Figma)を200億ドル(約2兆8900万円)で買収することを決めたのだ。

 フィグマは2012年に設立されたクラウドベースのデザインソフトウエア企業だ。今年の予想売上高は4億ドル、企業価値は100億ドルだ。従業員数2万6000人、年間売上高が158億ドル、時価総額が1400億ドルのアドビに比べれば、小さな商店レベルの存在だ。しかし、アドビは自社の年間売上高を上回る額でフィグマを買収した。

 一部にはアドビが高い買い物をしたとの声もある。しかし、テクノロジー業界では「デザインソフトウエアの『王座』を守るためには決して高くない」との見方もある。10年前まではアドビに敵はいなかった。デザインや写真、映像製作に携わる人は10人中10人がアドビのソフトウエアを使った。しかし、フィグマ、スケッチ、キャンバなど新興企業が登場し、アドビより速く、軽く、拡張性が高いソフトウエアを投入した。

 特にフィグマはスマートフォン、タブレット端末などさまざまなIT機器で使用するアプリユーザーインターフェースのデザイン分野で頭角を現した。高い成長を示し、さまざまなデザインツールでアドビと直接競争を繰り広げた。デザイナーの間では「フィグマのソフトウエアがより優れている」との反応が多かった。アドビとしては焦っていたのだろう。放っておくにはわけにはいかない「目の上のたんこぶ」だったはずだ。アドビにとっては、未来を脅かすたんこぶを取り除くのに200億ドルは惜しくなかっただろう。

 今回のケースは「ビジネスの世界に永遠のトップはない」という言葉を思い出させる。既に大企業が掌握している市場、見えない部分に食い込み、勢力を拡大するスタートアップは多数ある。安心しきって市場を維持できればよいという防御的戦略を取った瞬間、覇権を失う恐れがある。永遠のグーグル、永遠のアップル、永遠のサムスン電子はないのだ。

 代表的な例がメタ(フェイスブック)だ。世界最大のソーシャルメディア企業であるメタは、短編動画のプラットフォームであるティックトックが浮上したことで不振に陥っている。ティックトックに類似するサービスを追随して投入しても、トレンドを変えるのは難しそうだ。韓国の産業界も恐ろしいスピードでライバルの追撃を受けている。鉄壁とみられた韓国のメモリー半導体とOLED(有機発光ダイオード)ディスプレー産業は、中国の成長で危機に追い込まれた。

 これまでの物を維持し、新しい成長動力を探る戦法はもう通用しないのかもしれない。再びゼロから第2の創業をしてこそ、猛追するライバルを克服することができる。自動車が初めて登場した時、数多くの馬車メーカーは手をこまぬいていたわけではない。メーカー各社は馬車の構造を変え、馬の速度を高める案を研究し続けた。しかし結局は消え去ってしまった。

シリコンバレー=キム・ソンミン特派員

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