韓国監査院、国民権益委員長の捜査を依頼…「秋美愛法相に配慮し、実務担当者に不当指示」

 韓国監査院はこのほど、勤怠問題と不当な業務介入などの疑いで全賢姫(チョン・ヒョンヒ)国民権益委員長の捜査を検察に要請した。

 監査院と法曹界などによると、監査院は21日、職権乱用の疑いなどで全委員長に対する捜査を大検察庁に要請した。数十ページの捜査要請書には、全委員長個人による不正が3-4件程度含まれているという。うち1件は権益委が2020年9月、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官(当時)の職務と秋長官の息子の軍休暇未復帰疑惑に関する検察の捜査は利害衝突とは言えない」という有権解釈を発表する過程で、全委員長が不当に介入したとする内容だ。

 監査院はまた、全委員長の勤怠に関連する不正も捜査要請書に含めたという。これについて、権益委関係者は「秋元長官の事案のように敏感な有権解釈は委員長も意見を示すのが正常な業務プロセスであり慣行だ」と話した。勤怠問題については、「外部日程が多い長官・次官の出退勤記録を取りまとめる政府部署はどこにもない」と主張した。

 監査院は7月、権益委の監査に着手した。 すると民主党と全委員長は直ちに「標的・不法監査」「政治工作」だと反発した。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が任命した全委員長を追放するための「政治監査」だという主張だった。すると、監査院の柳炳浩(ユ・ビョンホ)事務総長は同月末、国会での業務報告で、「権益委を巡っては内部情報提供事項がある。到底見過ごせない内容だ」と反論した。全委員長に対する「標的監査」ではなく、権益委の内部告発による監査であり、その内容も重大だとの説明だった。

 全委員長の有権解釈介入疑惑も、この内部からの情報提供に含まれる内容だ。権益委の有権解釈は大半が担当部署の局長、課長の専決で終わる。しかし、政治的に敏感な事案は委員長に事前に報告され、委員長の意見を聞く場合もしばしばあるという。

 問題の事件もそうだった。当時権益委の実務部署が初めて提出した報告には、秋元長官には利害衝突の可能性もあるという内容も含まれていたという。ところが、全委員長は内容の再検討を指示した。監査院はそれが職権乱用に当たるとの立場だ。全委員長が事実上、秋長官に有利な有権解釈を出すよう指示したとの判断だ。これに対し、権益委は委員長が主要事件に対して意見を提示し、補完指示を行うのは正常な業務遂行だという立場だ。

 結局、権益委は当時、「利害衝突の恐れはない」という有権解釈を発表した。秋元長官が自分の息子を捜査する検察を指揮・監督する法務部長官として在職することを巡り、利害衝突論争が起きている渦中にそうした解釈を示したことになる。野党である国民の力は当時、「全委員長が秋長官に免罪符を与えた」と反発した。

チョ・ベッコン記者

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  • ▲全賢姫・国民権益委員長/国会写真記者団

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