韓国MZ世代にとって韓服はカジュアルファッション

晴れ着の意識が変わり、トレーニングウエアとしても楽しむ…BTSなどの影響も一役

 10月15日、釜山市蓮堤区にあるasiadメインスタジアム前。黄緑色の韓服のチョゴリ(上衣)に赤いチマ(スカート)という外国人の少女たちがスマートフォンの自撮り棒を手に「スマイル」と言ってポーズした。5万人が集まった男性アイドルグループBTS(防弾少年団)のコンサートを見に来た海外のファンたちだった。会場を訪れたファンの中には、伝統的な韓服や生活韓服(晴れ着の韓服をカジュアルでも着られるようにデザインしたもの)を着た人や、ノリゲ(房飾り)やボクチュモニ(きんちゃく袋)をジーンズの上に付けている人もいた。BTSは海外のステージで韓服を着て公演することが多く、メンバーのSUGA(シュガ)やJIN(ジン)は普段から生活韓服を着ていることでも知られており、彼らをまねて韓服を楽しむファンが増えているおかげだ。

【写真】米ラスベガスのBTS公演会場近くに設けられた韓服体験ブースで記念撮影する現地のファンたち

 韓服を着ることを日常生活の一部として自然に受け入れる若い世代が最近増えている。写真共有ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「インスタグラム」に「#hanbok(韓服)」とハッシュタグ付きで検索しヒットする投稿だけで104万件余り。ロンドンやパリなどヨーロッパの街角で韓服を着て撮影し、アップロードした外国人の写真がすぐに見つかる。BTSやガールズグループBLACKPINK(ブラックピンク)のようなK-POPスターから、チョン・ホヨン、パク・ウンビンのように動画配信サービス「ネットフリックス」を通じて海外でも有名になった俳優たちまで、韓服や韓服をモチーフにした服を着ている姿がミュージックビデオやグラビアに登場していることから、韓服の人気も急上昇しているのだ。

 韓服は10-20代の若者たちにとって、長くて動きにくい服ではなく、遊んだり体を動かしたりする時に着る生活服でもある。各種SNSでは韓服を着て走るランニング・トレーナーの写真に数百万件の「いいね」が寄せられているほどだ。大手ファッション企業「新世界インターナショナル」のリビング・ブランド「JAJU(チャジュ)」が今年のルームウエア向けとして発売した生活韓服は、発売するやいなや初回販売分が完売した。

 韓服のユニホームを導入する企業も出てきた。ロッテ免税店では今月17日から国内の全店で襟の部分にトンジョン(飾り襟)を付け、袖は韓服のように丸みを帯びた生活韓服ユニホームを導入した。長時間着用するというユニホームの特性上、生地は伸縮性があり、しわになりにくいものを使用している。ロッテ免税店の関係者は「20-30代のスタッフから『生活韓服をユニホームとして着たい』という意見があったので導入することにした」と語った。

 ソウル・光化門にあるフォーシーズンズ・ホテル・ソウルも韓国式バー「OUL(オウル)」をオープンした際、スタッフのユニホームに生活韓服を選んだ。同店のスタッフたちはトンジョンのある生活韓服を着て、腰回りにはノリゲを付けている。フォーシーズンズ・ホテル・ソウルの関係者は「ソウルのダイナミックな姿を見たいという外国人客だけでなく、20-30代の韓国人客も韓服のユニホームに好意的な印象を抱いている」と言った。

 10代の中高生たちの間では、生活韓服の学生服が増加傾向にある。最近は生徒たちが自ら制服のデザインを投票で決めるケースも増えており、生活韓服を選ぶことも多くなったという。ゆったりしていて風通しがいいため暑さ対策になるだけでなく、チョゴリとトンパジ(幅広のズボン)の生活韓服はスカートとズボンという規格化された典型的な学生服とは違い、ジェンダー平等時代にも適しているという理由からだ。教育部によると、昨年だけで中学・高校16校が韓服の制服を導入し、今年も19校が生活韓服を新たに制服に採用したとのことだ。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者

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  • ▲韓服は今や特別な日だけに着る晴れ着ではない。韓服を着ることを日常生活の一部として自然に受け入れる若い世代がますます増えている。写真=文化体育観光部
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