小学校の教室に出向いて児童の前で教師に暴行…韓国保護者たちの教権侵害が増加傾向

昨年教権侵害した児童・生徒2098件、保護者ら171件
保護者の教権侵害、「侮辱・名誉毀損」39.8%、「脅迫」11.1%

 仁川市内のある小学校では昨年11月、授業中の教室に保護者がやって来て、児童たちが見ている前で教師に罵声(ばせい)や暴言を浴びせた後、暴行してけがを負わせるという事件があった。この2カ月前には慶尚南道の高校に通う生徒の保護者が教師に電話したり、テキストメッセージを送ったり、学校に行ったりして、子の教育に関する不当な要求を繰り返すという出来事もあった。

 新型コロナウイルスが流行してリモート授業が行われた2020年と2021年を除き、教師の教育活動に対する侵害(教権侵害)が年間2500件以上発生している中、保護者など一般の人々による教権侵害も増加傾向にあることが分かった。教育部は教権侵害に対応するため、児童・生徒だけでなく、保護者を対象とした措置も強化することにした。

 韓国教育部は29日、「教育活動侵害予防および対応強化案」の試案を発表し、最近発生した深刻な教権侵害事例を紹介した。同級生ともみ合いになった小学生が、指導しようとした教師に罵声を浴びせた上、実習用のノコギリを投げるなどして脅した事例や、中学生が教壇で授業中の教師のそばで寝そべり、携帯電話を手にしている事例の動画が公開されたほか、保護者による教権侵害の事例も紹介された。

 教育部と韓国教育開発院の教育活動実態調査結果を見ると、小中高校の教権侵害事例の90%以上は児童・生徒によるものだった。しかし、保護者など一般人による教権侵害事例件数は2017年の4.6%から2018年8.6%、2019年8.5%、2020年9.7%、2021年7.5%と増加傾向にある。

 昨年の児童・生徒による教権侵害は合計2098件だった。「侮辱・名誉毀損(きそん)」が57.3%と半数以上を占め、以下「傷害・暴行」が11%、「性的屈辱感・嫌悪感を起こす行為」が9.5%などで、「性暴力犯罪」も3.1%あった。

 保護者などによる教権侵害は合計171件で、侮辱・名誉毀損が39.8%と最も多かった。続いて「正当な教育に対して繰り返し不当に干渉する行為」17%、「脅迫」11.1%、「公務および業務妨害」8.8%、「傷害・暴行」4.7%、「性的屈辱感・嫌悪感を起こす行為」4.1%との集計が出ている。

 教育部は、教権保護委員会で審議されていない事例も考慮すると、実際の発生件数はこれより多いと推定している。教師たちの間では教権侵害に対する認識と対策の整備を求める声が強い。

 韓国教員団体総連合会が今年7月、幼稚園と小中高校教員8655人を対象にアンケート調査を行った結果によると、「週に5回以上、園児・児童・生徒の問題行動(授業妨害・暴言など)に接する」という教員が全調査対象の61.3%を占めたという。一日1回以上、問題行動を経験しているという意味だ。「そうした問題行動により園児・児童・生徒の学習権と教師の教権侵害が深刻な状況に陥っている」という回答は調査対象の95%に達した。

 教育部は、深刻な教権侵害状況の発生を防ぐため、教員の児童・生徒生活指導権限を「初等・中等教育法」に明記することにした。深刻な授業妨害行為は「教権侵害」と規定し、ほかの児童・生徒の学習権を幅広く保障するということだ。

 被害に遭った教員に対する保護も強化する。重大かつ緊急の教権侵害事案が発生した場合、これまでは教師が特別休暇を取って児童・生徒との接触を避けることが多かった。しかし、今後は侵害児童・生徒に出席停止などの措置を取って教員と直ちに引き離す方針だ。出席停止以上の措置を受けた場合の特別教育を義務化し、保護者も参加させるなどの措置も強化することにした。

 教育部は、保護者による教権侵害を防止するため、保護者ら要望・苦情を訴える人が学校に電話してきた際、教職員を対象に暴言や罵声を浴びせないよう要請する通話引き継ぎ音の設定を推進することにした。「学校教育活動は『教員地位法』によって保護されています。暴言や罵声はご遠慮いただき、教師と児童・生徒たちが幸せな学校生活を送れるよう、皆さんの温かい関心と励ましをお願いいたします」などの案内文を入れるというものだ。また、保護者支援センターと協力して防止教育を拡充させることにした。

世宗=ソン・ドクホ記者

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