中国のウイグル人権侵害を非難する国連声明、韓国は不参加

国連総会で自由陣営の50カ国が声明に参加
韓国は新疆ウイグル自治区の人権討論には賛成
中国の圧力に「ぶれまくり」との批判も

 韓国外交部(省に相当)は1日、中国の新疆ウイグル族など少数民族の人権問題を非難する国連の声明に加わらなかったことを明らかにした。韓国外交部のイム・スソク報道官はこの日行われたブリーフィングで「今回の国連総会において、中国の新疆ウイグル自治区の人権問題に関する共同声明に(韓国は)諸般の事情を総合的に考慮し不参加を決めた」と明らかにした。韓国は先月の国連人権理事会(UNHRC)でウイグルの人権問題に関する討論会開催には賛成したが、今回は180度反対の決定を下した形だ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は自由や人権などの価値に基づく外交を掲げているが、中国の圧力でその方針がぶれているとの批判を受けている。

 人権問題などを主に取り扱う国連総会第3委員会は31日(現地時間)に声明を出し「われわれは中国の人権問題、とりわけ新疆ウイグル族やその他イスラム系少数民族に対する持続的な人権侵害に対し深刻な懸念を抱いている」「これらの深刻かつ組織的な人権侵害を正当化することはできない」と指摘した。この声明には米国をはじめ日本、英国、フランス、ドイツなど自由・民主主義陣営の50カ国が名を連ねた。これに対してロシア、北朝鮮、キューバなど66カ国は「内政不干渉」を理由に今回の声明を批判している。韓国は先月6日の国連人権理事会で中国の人権侵害疑惑に対する討論会開催の採決には賛成票を投じたが、実際に中国の人権問題を批判する国連の声明には参加を見合わせたのだ。これについて韓国外交部は「国益を考慮した決定」とした上で「中国の人権問題に対する国際社会の議論とその動向を注視している」とコメントするにとどめた。

 駐韓中国大使は先月、韓国政府が討論会開催の採決に賛成票を投じたことに対し「遺憾の意」を表明したが、これもあって外交関係者の間では「中国の圧力を考慮した決定」との見方が出ている。経済関連の部処(省庁)を中心に「中国からの報復」を懸念する声が上がったことも「新疆ウイグル自治区の人権問題に関する声明不参加」に影響を及ぼしたとの見方もある。中国が在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題のときのように経済で報復する恐れがあるというのだ。韓国外交部の関係者は「駐韓(中国)大使の発言を理由に政府が今回の決定を下したとの見方は適切ではない」と反論しているが、「尹錫悦政権も中国の顔色をうかがっているのでは」との指摘は今も相次いでいる。

キム・ウンジュン記者

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