【寄稿】ハロウィーンに罪はない

「西洋のお化けごっこ」ではなく世界の若者たちが楽しむグローバルな大衆文化祭
安全を政治利用する「政治の亡霊」から脱しなければ、きちんとした対策はできない

 問題は、災害と事故に対する韓国社会の議論に政治が過度に介入しているということだ。梨泰院事故発生直後の先月30日、野党・共に民主党のシンクタンク「民主研究院」の南英姫(ナム・ヨンヒ)副院長がソーシャル・メディアに掲載した文章を見てもそれが分かる。「百歩譲っても原因は全て(ソウル市)竜山の国防部にある大統領室に集中した警護人材のせいだ」「依然として(ソウル市瑞草区)瑞草洞のアクロビスタ(大統領私邸がある高層マンション)から出退勤する珍しい大統領、尹錫悦(ユン・ソンニョル)のせいだ」という南副院長の投稿は、あまりにも不適切であきれたもので、共に民主党の支持者たちからも非難され、現在は削除されている。

 まさにそのような態度が韓国社会を安全からいっそう遠ざけている。振り返ってみよう。2014年のセウォル号沈没事故以降、韓国社会で「安全」を呼びかける声が不足したことは一度もなかった。「安全のために涙する国民がただの一人もいなくなるようにします」。2017年4月、当時の文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党大統領候補が「生命安全の目」というオブジェに書いた誓いの言葉だ。大統領になった彼は、行政自治部と国民安全処を統合して行政安全部を新設した。文前大統領は自ら先頭に立ってセウォル号を国民安全の象徴にした。

 ところが、その結果はどうだっただろうか。大韓造船学会と韓国科学技術団体総連合会が出てきて説明しても、社会的惨事特別調査委員会は現実性のない外部衝突説にこだわっている。セウォル号事故陰謀論で映画を作って一役買ったインターネット・メディアのジャーナリスト、金於俊(キム・オジュン)氏は今も毎朝、交通放送(TBS)のラジオ番組のマイクを握っている。災難を政治的に活用する「災難の政治化」を超えて、今や政治そのものが災難となる「政治の災難化」が進んでいるのではないか。

 ハロウィーンに罪はない。韓国社会がこのような悲劇に見舞われる原因は「西洋のお化け」のせいではない。「政治の亡霊」のせいだ。安全を政治の論理で振り回すようなことは二度と繰り返してはならない。そうすれば原因を正しく把握し、長期的に実効性のある対策を立てることができる。犠牲者とその家族に深い哀悼の意を表す。

ノ・ジョンテ(経済社会研究院専門委員・哲学)

【動画】「下りて!」…女性の呼び掛けに協力して坂を下り始める群衆

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