文・前大統領は最近、尹建永(ユン・ゴンヨン)議員など側近たちから随時、政局の動向報告を受けているという。チョン・へチョル、楊正哲(ヤン・ジョンチョル)など「3チョル」と呼ばれた人物らとの接触もひんぱんだといわれている。親文派議員らも随時、梁山を訪れている。西海公務員越北押し付けや北朝鮮漁民強制送還、イ・サンジク元議員採用請託疑惑に対する捜査・監査に勢いが付き、金正淑(キム・ジョンスク)夫人のインド訪問問題にまで再び火が付いたことで、危機感を抱いたのだ。一部の議員は、文・前大統領に「心配になって眠れない」と懸念を示したと伝えられている。
親文派は、李在明(イ・ジェミョン)代表が文・前大統領の保護膜になってくれるだろうと期待した。だから大統領選挙のときも李代表と手を組んだ。「親明(李在明に近い)と親文は同じ」「明文政党になろう」と言った。そんな李代表が、各種の不正疑惑で瀬戸際に追い込まれている。今は検察の捜査に対抗して双方が共同戦線を張っている。しかし李代表がしくじったら、文・前大統領も、もはや「李在明の盾」の後ろに隠れてはいられない。
文・前大統領はこれまで、自分が責任を取ったり立場を表明したりすべき場面になるたび、後ろに下がって沈黙した。だが、今回もそうやってしのぐのは容易ではない。そこで、西海公務員事件について直接立場を表明する案を検討しているという。自分が旗を持って前面に出ることで、動揺していた親文派と支持層を再び糾合しようというわけだ。親文陣営からは「支持率30%台の尹政権が、李代表に続いて文・前大統領までたたくのはきついのではないか」という声が上がっている。仮に李代表がしくじっても文・前大統領を求心点として集まれば、検察の捜査を防いで野党側も再編できる-という計算なのだろう。忘れられたいという言葉と違って、文・前大統領はイ・ヘチャン前代表の背後で「上王政治」を夢見ているのかもしれない。
ぺ・ソンギュ論説委員