【朝鮮日報コラム】私たちは今、「幻滅の海」を渡る

都市型の災害、梨泰院雑踏事故
大統領の護衛にきゅうきゅうとする官僚
「亡者政治」を始める最大野党
大衆はこん棒を持って「感性遊び」

 彼らの恐怖も理解はできる。加湿器殺菌剤事件、セウォル号事件を経て、司法を動員した「公務員討伐」は当たり前になった。首になるのはまだいい方で、刑務所暮らしが日常茶飯事だ。大衆の怒りでたぎる油の釜、その上に渡された一筋の綱。公務員は今、その綱の上を歩いている。亡くなった警察官が感じたであろう圧迫感に、心が痛む。

 野党の振る舞いは、一部のみ列挙したい。「尹錫悦政権は梨泰院で若者たちを死地へ、狭い路地に追い込み、大勢を死なせた」「空砲でも撃って道を開けるとか…」。民主党で要職を長年務めていた粱敬淑(ヤン・ギョンスク)議員の主張だ。こんな妄言が出るのは、「哀悼ビジネス」専門家の進歩勢力が、韓国政府の「哀悼先取り」に虚を突かれたからだ。

 まがうかたなきデマを量産中の金於俊(キム・オジュン)氏が、放送を通して「戦略」を提示している。「責任を問わずに見逃すことはできない」。その後、「真の哀悼は怒り」「犠牲者の名と顔を公開しよう」という主張が相次いだ。ついには李在明(イ・ジェミョン)民主党代表がここに乗り込んできた。「故人の名前を呼ぶことが倫理に反するのか?」。下心を隠して亡者を動員すること、それが倫理に反しているのだ。やがて身元の公開を巡って遺族たちは分裂し、「連中」は「尹錫悦退陣」集会用の観光バスを借りるのに忙しくなるだろう。

 「無責任のこん棒」を持った大衆は、口では「みんな捕まえて放り込め」と言いつつ、消防公務員の立件を巡っては「かわいそう」と反発する。「手が震えてるのに…」というのが理由だ。

 こういうときに必要なのが、政治と宗教だ。政治は陣営の支持者を代理戦に参戦させ、宗教家も、知識人も、物書きも、陣営に奉仕することでごう音を発する。誰の手をつかんで、この幻滅の海を渡るのか。幸いなのは、海の果ては陸地だという点だ。

朴垠柱(パク・ウンジュ)エディター兼エバーグリーン・コンテンツ部長

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