【朝鮮日報コラム】パンデミックで米国の職場から女性が消えた

 米国務省から「金曜日の午後4時に行事があるが、韓国メディア代表として参加してくれるか」という電話をもらった。6時の子どもの下校時間に間に合わないと思った。放課後、学校に追加料金を支払えば1時間さらに預けることができるという案内を受け「参加する」と答えた。事情を聞いた国務省の職員がため息をついた。「私もその日、しゅうとめに赤ちゃんの面倒を見てくれるよう急いで頼みました。在宅勤務中のお母さんたちには頼むことができませんからね」

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 米国で働く親たちが、このように通常運営される学校に子どもを送ったり、協力してくれる家族がいたり、ベビーシッターを雇用したりする余力があれば、それは運のいい方だと言える。最近、米国全域の保育・教育システムが崩壊し始めたことで、幼い子どもを抱える家庭が通常の経済活動を営むことができていないのだ。新型コロナウイルス感染症のパンデミック以来、保育園が相次いで倒産したことで、米国の4歳以下の幼児の3人に1人だけが保育機関に通えている状況だ。小学校の教師が不足しているため、週3-4日に授業を短縮して進める学校も増えている。

 他国の保育大乱がわれわれと何の関係があるのかと思うかもしれないが、その「バタフライ効果」は想像を絶する。米連邦準備制度理事会の急激な金利引き上げによる世界的なドル高の苦痛とドミノ式不況への懸念を生んだのは、ここ40年で最悪と言われている米国のインフレだ。このインフレの根本原因は、原油高や低金利よりも深刻な求人難に伴う人件費の高騰と、これに伴う全てのサービス、商品価格の上昇だ。連邦準備制度理事会は連日「労働市場が依然としてタイトだ」とし、融資を厳しくし、失業を誘発しようとしている。

 ところがパンデミック以来、米国で姿を消した労働力の約40%が20-40代のワーキングママだったことが分かっている。コロナ禍でいち早く引退した50代以上の中・壮年層の人材損失よりも、企業と国家にとってはより大きな痛みとなっている。物価高に加え高金利が懸念されるからといって、突然幼い子どもを投げ捨てるわけにはいかない。実際、米物価指標を見れば、保育・教育界、療養院や病院の看護師、福祉機関、飲食店、ホテルなど女性労働者の占める割合が大きい分野であればある程、人件費の上昇率は高い水準を示している。

 米国は、保育に国が責任を負わない。先進国の中で唯一出産休暇や育児休職制度がない。経済がうまく回っているときは、特に問題のなかったシステムだ。しかし、パンデミックのような危機的状況では、このように政策的な弱点が最も先に崩れるようになっている。これを正さないまま、連邦準備制度理事会だけでいくら絶妙な通貨政策を駆使しても、インフレや景気低迷を防ぐことは困難と言える。

 韓国も、ドル高による為替レートへの影響や物価高騰、景気低迷など、複合的な経済危機に直面している。各種の非常対策で備えるとは言うものの、一時しのぎにすぎない。生産コストを高めてしまう硬直した労働市場、革新を妨げる行き過ぎた規制、放漫なポピュリズム財政。韓国経済の血脈を押さえ付けているものは何なのか。それを見つけ出して手術するのが政府の仕事だ。

ニューヨーク=鄭始幸(チョン・シヘン)特派員

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