世界トップの自動車メーカー、トヨタが、従来の電気自動車(EV)開発計画を完全に「リブーティング(Rebooting。生まれ変わり)」させる。現在開発中のEV新車プロジェクトの大部分を中止し、今年導入したEV専用プラットフォーム(e-TNGA)の廃棄まで検討している。今年5月に発売したEV「bZ4X」が品質不良でリコールにまで至るという大きな屈辱に見舞われ、EV事業の全面刷新に乗り出したのだ。
ロイターは10月25日(現地時間)、「トヨタが内部的に『EV生産の効率競争で既にテスラに敗北した』との結論を下し、BR(ビジネスレビュー)という組織を作ってEV戦略を原点から見直している」と報じた。そのきっかけは「bZ4Xショック」だった。bZ4Xはe-TNGAベースの初のEVで、昨年、豊田章男社長が「2030年までに30車種のEVを送り出す」というEV大戦略を発表した後に登場した最初のEVモデルだった。ところが発売後わずか2カ月で、走行中に車輪が外れるという致命的欠陥が発生し、原因を突き止めることができなかったトヨタは、最終的に全車リコールしなければならなかった。ハイブリッド車の絶対強者トヨタがEVを安易に考え、うろたえる羽目になったのだ。だがトヨタの覚醒は、トヨタが本格的にEV市場へ参入することを意味する。
■プラットフォームの早期廃棄、テスラ式工法の導入も考慮
ロイターによると、トヨタは今年導入したEVプラットフォーム「e-TNGA」を早期に廃棄し、新たなEV専用プラットフォームを作ることを検討している。プラットフォームはEV開発・生産の骨組みになる設計で、現代自動車の場合、E-GMPというプラットフォームをベースにIONIQ5・EV6といった主力EVを作っている。e-TNGAを廃棄したら、これをベースに開発しているEVおよそ10車種を最初から開発し直さなければならないことになる。トヨタは新プラットフォームの開発に早くて2年かかると予想していて、新車発売の遅れも甘受する覚悟だ。
トヨタは当初、e-TNGAを作った当時、EV市場の急成長を予想できず、EVの生産ラインで旧来の内燃機関自動車やハイブリッド車も製造できるように設計した。ところが品質不良が発生して生産コストが下がらないことから、100%EVにのみ集中できるプラットフォームをまた作ろうというわけだ。