トヨタ「骨組みからやり直そう」…EV競争、本番が始まった

EVのリコールに見舞われたトヨタ歯ぎしり
新車の再検討に加えてアグレッシブな投資も

 トヨタは、自社の既存の工程から完全に脱皮して米国テスラの「ギガプレス」工程を導入することも検討している。テスラが真っ先に導入したギガプレスは、巨大で精密な型を利用し、車体の核心部を一挙に成型する手法だ。トヨタは、内部的に「テスラ・ベンチマーキング」を掲げ、デンソーやアイシンといった系列の部品メーカーにも「テスラ車に搭載されたバッテリー効率化や熱管理の技術を最優先で開発せよ」との指針を下したという。内燃機関を積んだ伝統的な自動車のパーツや設計から脱皮したいということだ。章男

 こうした作業は「BRグループ」が主導している。豊田章男社長の直属で、新事業を推進したり社内の大きな変化を推進したりする際に立ち上げる、非常設の組織だ。トヨタは、顧問級に退いていた寺師茂樹・元役員(CCO〈最高顧客責任者〉)を呼び戻し、グループ長を任せた。寺師氏はおよそ20年にわたりトヨタ車の中心的な設計を主導していたエンジニア出身だ。

■ついにEV競争が本格スタート

 トヨタ社内には「EVの需要を過小評価していた」と反省する雰囲気があると伝えられている。トヨタの中心的な役員は「EVの普及が予想よりはるかに急で、テスラなど競合他社が新技術を導入するスピードもわれわれの予想よりずっと早い」という結論を下したという。

 こうした反省は、最近のトヨタの動きにも反映されている。トヨタは今年8月31日、最大7300億円を投じて日本と米国にバッテリーEV(BEV)用のバッテリー工場を作ると発表した。米国主導のサプライチェーン再編に伴う措置という側面もあるが、EVのバッテリーを直接供給したいというトヨタの狙いも反映されている。同時にトヨタは今年の年末、中国市場でEV「bZ3」を発売する計画だ。中国最大のEVメーカー、比亜迪(BYD)と協業し、BYDのバッテリーを搭載している。EVにとって最大の市場・中国を逃すつもりはないというわけだ。

 パク・チョンギュ漢陽大学兼任教授は「市場を慎重かつ徹底して分析し、事業を展開するトヨタが、ついに本格的にEV市場に入ってきたと見ることができる」とし「トヨタの本格参戦で、EV市場の本当の競争がついに始まる」と語った。

イム・ギョンオプ記者

【図】主要各社の2030電気自動車転換投資計画

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