健康診断のように気軽に…韓国人のメンタルヘルス相談、3年で3倍に

新型コロナ・不況続きでメンタルヘルス相談が日常化
「カウンセリングは、健康診断を毎年受けるように、心の健康を調べるものだと思います」

 京畿道南楊州市でパティシエとして働いているイさん(30)は、2017年から2年に1度のペースで民間の心理相談センターにおいてカウンセリングを受けている。ひとたびカウンセリングを始めたら3-6カ月間、一定の間隔で専門家のところに通うという。慢性的なうつの症状を抱えるイさんは「カウンセリングだけで日常の全てのうつを解消することはできないが、それまで知らなかった自分の感情を発見し、自分で自分を助けることができる」と語った。1回のカウンセリングで9万ウォン(現在のレートで約9400円。以下同じ)から10万ウォン(約1万400円)を払っているが、イさんは「高いと思ったことは一度もない」と語った。

 専門家と会って心理相談を受け、メンタルヘルスを整えようという人は大幅に増えている。韓国社会では長年、肉体的な問題で病院を訪れることについては何のはばかりもない一方、心の病を治す問題については外部に明かすのを嫌がる傾向が強かった。だが最近、若い人々を中心に変化が現れつつある。11月22日に保健福祉部(省に相当。福祉部)が明らかにしたところによると、福祉部が運営する全国精神健康福祉センターで昨年受理した相談件数はおよそ235万7500件で、コロナ前の2018年と比べておよそ3.2倍になった。

 専門家らは、2年以上続く新型コロナ問題に加えて最近の梨泰院ハロウィーン惨事まで、大規模な災厄が相次いでおり、不況の中、一人で生きている単身世帯が増えるにつれ社会的孤立感も増しているなど、急激な社会変化で心の健康に問題を抱える人が増えた-と分析している。同時に、専門家のアドバイスを通して実際に効果があった事例も多く共有され、自分がカウンセリングを受けているという事実を自然と外部に明かす例も相次いでいる。

 若い世代ほど、カウンセリングを受けることはもちろん、うつに見舞われたり薬を服用したりといったことを隠さないケースが多い。特にZ世代(1995年以降から2000年代前半に生まれた世代)の場合、幼いころからテレビやユーチューブなどを通して、カウンセリングや心の健康の問題に関するコンテンツと頻繫に接してきた。大学生のキムさん(24)は「ソーシャルメディアでうつや不安などネガティブな感情表現を自然とやってきた世代だからなのか、同じ年ごろの子たちは、カウンセリングを受けに行くことも一般の病院に行くのと同じように受け止めがち」と語った。

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