韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で初の国防白書に、北朝鮮政権と北朝鮮軍を「敵」と規定する表現が再び盛り込まれる。国防部(省に相当。以下同じ)関係者は6日、本紙の取材に対して「核開発や軍事的脅しを続ける北朝鮮政権と北朝鮮軍はわれわれの“敵”であることをはっきり認識できる表現を『2022年度国防白書』に明記する方針」とし「『敵』よりもふさわしい表現はないかどうか、詰めの検討をしているところ」と明かした。隔年発行の国防白書に「敵」表現が盛り込まれるのは、2016年以来6年ぶりだ。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は2018年国防白書から、北朝鮮政権と北朝鮮軍は「敵」という表現を削除した。代わりに「政権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵と見なす」という文言を使った。当時、韓国軍内部からは「哨戒艦『天安』爆沈事件、延坪島砲撃事件を起こした北朝鮮に対する『敵』概念があいまいになりかねない」という指摘が提起された。その後、韓国軍では北朝鮮軍への敵対的表現を避ける現象も起きた。韓国軍関係者は「こうした問題を解決するためにも、国防政策の指針書である国防白書に、北朝鮮政権を『敵』と規定する表現を再び入れようということ」と語った。これに関して統一部の当局者は「『敵』表現を使っても、南北間の対話と協力を否定するものではない」とコメントした。
なお北朝鮮は、前日に続いて6日も9・19南北軍事合意に違反する砲撃挑発を続けた。江原道高城郡一帯で、東海の北朝鮮側海上緩衝水域に向けておよそ90発の砲撃を行ったことを韓国軍当局が明かした。その後、北朝鮮軍はさらにおよそ10発の砲撃を行った。北朝鮮軍の総参謀部は6日、報道官名義で、韓米連合軍の陸上砲撃訓練に文句を付けて自分たちの砲撃を正当化した。しかし韓米の砲撃訓練は江原道鉄原において、9・19南北軍事合意を順守して事前告知を行った上でのものだった。韓国軍関係者は「北朝鮮が、かつては何の反応も見せていなかった韓米の日常的な射撃訓練にまでけちを付け、9・19合意を破る挑発を行い続けている」とし「7回目の核実験など、強硬な挑発に向けた名目作り作業の可能性がある」と語った。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者