【コラム】中国の半導体自力更生、韓国にとって対岸の火事ではない

 最も象徴的な変化が中国最大の半導体企業、中芯国際集成電路製造(SMIC)が米国の技術、装備を使わない生産ラインを作ったことだ。「Non A」と呼ばれるこのラインでは、直ちに回路線幅40ナノメートルのロースペックの半導体を作ることができ、2年後には28ナノメートルまで微細化を進めることが目標だ。アップルのiPhone用半導体の回路線幅が4ナノメートルであることを考えると、道のりははるか遠く、それもオランダのASML、日本のキヤノンなど米国以外の装備メーカーが引き続き設備を提供しなければ生産が不可能」な状況だ。 しかし、SMICの試みは先端半導体の独自生産に向けた本当の第一歩といえる。

 当面全世界は台湾積体電路製造(TSMC)、サムスン、インテルなどが作る先端半導体を使う国々と古い国産半導体を使う中国に分かれるだろう。iPhoneとテスラを購入できる中国の富裕層とは異なり、それほどの購買力がない普通の中国人は10-20年遅れの国産品を使わなければならない。数億人に上る彼らのおかげで、中国の半導体メーカーも持ちこたえることができ、技術力を蓄積するだろう。

 しかし、日本と欧州の合計の1.5倍を超える人口を持つ中国でもグローバルサプライチェーンとは接点がない独自の半導体サプライチェーンを構築することは不可能だ。しかも、先端半導体なしには米国を追い抜くという目標の達成どころか産業全般の後退が避けられない。中国が結局は自分たちの資源と市場をテコに米国と妥協し、グローバルサプライチェーンを再び揺るがすとみられているのもそのためだ。そのころの中国半導体市場は中国企業がシェアを拡大した後である可能性が高い。中国の半導体危機は韓国にとって決して対岸の火事ではない。

李吉星(イ・ギルソン)記者

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