韓国政界とネットメディアの不道徳な共生で雪だるま式に膨らむフェイクニュース、支持層は盲信

 韓国政界を騒がせたいわゆる「清潭洞酒席疑惑」はユーチューブチャンネル「ザ・探査」が入手した問題のチェロ奏者の録音ファイルが発端ではあったが、共に民主党の金宜謙(キム・ウィギョム)議員と党指導部が論争を拡大させたと言える。政界がフェイクニュースを阻むどころか、検証もせずにあたかも事実であるかのように増幅させた代表例だ。

 金宜謙議員が今年10月、国会での国政監査で疑惑を取り上げると、同党の張京泰(チャン・ギョンテ)最高委員はすぐに「法務部長官が法律事務所関係者らと酒席を持ったとすれば問題になる恐れがある」と公言した。金星煥(キム・ソンファン)政策委議長は「事実なら第2の国政介入だ」と述べた。彼らは疑惑が事実上虚偽と判明した後も「真実はまだ分からない」という立場を保っている。そうこうしている間に政界から飛び出した言葉はユーチューブとインターネット掲示板を通じて広がった。

 最近は「天空」の名で知られる占い師が政府の重要な決定に介入したというフェイクニュースが拡散中だ。先月30日、フォロワーが7万人を超える左派系ユーチューブチャンネルに天空が過去の講演で「労働争議があってこそ未来の発展がある」と語る場面と、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が最近「不法ストライキと妥協しない」と話す場面を結び付けた映像が掲載された。動画には「貨物連帯踏みつけ、今回も天空の教え通り」というタイトルが付いていた。動画掲載翌日にはフォロワー90万人を超えるユーチューブチャンネルが、2日後には金於俊(キム・オジュン)氏が自身の配信を通じて天空の映像を流した。金於俊氏の動画は13日まで再生回数121万回を超えた。5日には正義党の金鍾大(キム・ジョンデ)元議員が「天空は尹大統領夫妻が住む官邸の物色過程に関与した」という疑惑を提起した。天空に同行したと指摘された大統領警護処長が「面識はない」と否定したが、野党寄りのインターネット掲示板では「天空がすべて指図している」という発言が相次いだ。

 反対陣営でも類似するパターンが見られる。右派系ユーチューバーのチャンネルではいわゆる「梨泰院事故計画説」を指摘する動画が簡単に見つかる。「梨泰院事故は李在明(イ・ジェミョン)氏の司法リスクを覆い隠すために企画され、事故を起こした組織が別にある」との主張だ。ユーチューバーは事故当時、現場にいたという「情報提供者」の言葉を引用し、「事件現場から数百メートル離れたところでも遺体が発見された。圧死以外に死亡原因があった」と主張した。国民の力の宋彦錫(ソン・オンソク)議員は11日、国会本会議で「約300メートル離れたところにも遺体があったという」と述べた。ネット上で指摘された疑惑について、国会でそのまま言及したのだ。

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  • ▲金宜謙氏(左)と金於俊氏

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