いったいなぜ…「呪いの人形」が流行する韓国社会

「上の階の騒音ひどくて購入」

「憎い職場の同僚を呪おうと」

専門家「暴力性の懸念」

いったいなぜ…「呪いの人形」が流行する韓国社会

 ソウル市江南区に住む会社員チェさん(28)は先週、知人たちとの忘年会で、いわゆる「呪(のろ)いの人形」をプレゼントにもらった。箱には布で作られた手のひらくらいの大きさの人形とクギが入っていた。チェさんは「安くて面白いプレゼントを交換しようということで、その時は笑ってスルーしたが、家に帰ってインターネットで検索してみると最近流行していると知り、びっくりした」「誰かに対して腹を立てている人が本当に多いんだなと思った」と語った。

 最近、若者の間で年末近くのストレス解消用に「呪いの人形」をネットで購入したり、プレゼントしたりするケースが増えている。呪いの人形は布やわらなどで作った小さな人形だが、人形の胴体にクギを刺したり、事情を書いた紙やお札と人形を一緒に燃やしたりすると、自分を苦しめている人に災いがあるという迷信がその根底にある。

 ポータルサイトなどでは1万ウォン(約1000円)前後で買える呪いの人形数十点がよく売れている。人形とともに特定の言葉が書かれたお札や呪いの小袋、鉄クギなどのセットもある。販売者の中には「うちの人形は△△地域で有名な仙女様の助言と助けをいただいて作った」「力のある巫女(みこ)を尋ね、祈願や呪術の原理などについて十分、事前調査を済ませた」などの宣伝文を書いているケースもある。

 若者の間で、就職や人間関係の問題など日常生活でたまっているさまざまなストレスを解消しようと、呪いの人形を購入するケースがほとんどだ。ある購入者は「職場で威張って、ことあるごとに口を出す人がいるから買った」「毎日仕事が終わって帰って来た後、または出勤前に思いっきり呪いの人形を痛めつけて気持ちをなだめている」と話す。「上の階の騒音にさいなまれているので買った」という人もいた。しかし、ソウル大学心理学科の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授は「このような形態は、確執をコミュニケーションで解決するのではなく、一種の暴力性をあらわにしているものなので懸念される」「一時的なカタルシス(精神の浄化)を得ることはできるだろうが、頼り続けてはならないだろう」と語った。

キム・スンヒョン記者

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